70.三日天下
【★☆★読者の皆様へのお知らせ★☆★】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
ガンマが魔蟲弓による一撃を放つ、少し前のこと。
超巨大蟲は毒蛾となって、空中を高速で飛翔していた。
この蟲は生まれたばかりの赤子。
理性も思考もほとんどもたない状態であった。
そんなときに、魔蟲の侵攻を阻む【羽虫】たちと出会った。
最初、羽虫たちのことを、邪魔くさい存在だと思った。
道を阻む壁というか、段差程度にしか思わなかった。
しかし、自分が羽化して、毒の鱗粉で人間達を蹂躙したとき……。
毒蛾に一つの欲が生まれたのだ。
人間がもがき、苦しむ姿を見て、愉悦を覚えたのである。
もっとだ、もっとこの苦しむ様を見てみたい。
そう思って毒蛾は、より人間がたくさんいる方角へと向かって宙を駆けた。
自分が通り過ぎる後には何も残らない。
自分の毒に大地も、木々も、空気も、蹂躙されていく。
自分以外の存在を踏み潰し、その命を奪う快感に、生まれたばかりの虫は捕らわれたのである。
【GIGIGI……!】
毒蛾は思った。この自分こそが、この世界の絶対的支配者ではないかと。
自分が努力せず、飛んでいるだけで、この星の命をたやすく奪えるのである。
この強さ。まさに支配者にふさわしい。
そうだ、自分は生まれながらに、弱者から搾取する存在だったのだ。
毒蛾は空を舞い、すべてを毒で犯しながら、己の存在意義を見いだしていた。
自分の歩む姿が、覇道を歩む王者のそれなのだと。
自分こそが、最強なのだ。
自分こそが……。
ゾクリ……! と背筋に悪寒を感じたのは、そのときだ。
毒蛾は何が起きたのかわからなかった。
だが生まれて初めて抱いたその感情に困惑するばかりであった。
何かが、迫ってくる。
そう思った瞬間毒蛾は、全速力で半身をずらした。
そう、ずらしただけだ。なぜならそれしかできなかったのだ。
あまりに、早かったのである。
最初はあまりに早くて、流星でも振ってきたのかと思った。
だが違った。
放たれたそれの軌跡には、魔力が宿っていたのである。
生まれながらに魔力を感知できる魔蟲は、理解した。
誰かが魔法の力で自分を攻撃しているのだと。
そんなばかな。ありえない。
この絶対的な支配者たる自分が、敵の攻撃を視認できなかっただと?
そんなことはありえない。
自分の飛ぶ速さこそが世界最速で、自分こそが世界最強の存在なのだ……と。
……だが、思い上がりだったと毒蛾は気づく。
自分が避けた次の瞬間、第二の矢が飛んできたのだ。
これには避けることができなかった。
毒蛾は一対ある翅を、同時に失ったのである。
ありえない、なぜだ!?
一発の矢で、どうして2枚の翅が消し飛ぶのだ!?
困惑しながら空中落下する毒蛾は……見た。
人間ではありえない視力で……見た。
……目が、あった。
自分と同じ、魔蟲の強化された視力を持つ、狩人の存在を。
そう、やつもこの人間では視認不可能な距離からこちらを見ていたのだ。
そして……笑った。
……ぞくり。
先ほど自分が感じた悪寒を再び覚えた。
ああ……短い春だった。
毒蛾は理解する。
先ほどの早い一撃は……おとりだったのだ。
自分はもてあそばれていたのだ。
一発目の矢は脅しで、二発目で移動手段を奪い……。
そしてやつは、ゆうゆうと、とどめの一発を加えてきた。
動体視力を魔力で強化して、やっと、やつの全力の一撃を目で追えた。
黒い稲妻。そう形容するしかない。
やつの放った弓矢による一撃は、黒い魔力の矢となって襲いかかってくる。
それが通った後には何も残らない。
森も、大地も、空気も。
そして、日の光もだ。
すべてを食らいつくす覇王の一撃。
そう……そうだ。
自分は間違っていたのだ。
自分もまた捕食される側だったのだ。
もう毒蛾は逃げられない。
逃げようと意思を持った瞬間、黒い稲妻に体を焼かれた。
固い外皮はボロボロと崩れ去っていく。
なんだこれはと驚く暇も無く、自分は敵の攻撃によって……命を食われたのだった。
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タイトルは、
『ロクでなしギルド指導員、実は史上最強〜俺を追放? はい卒業おめでとう。後から泣きついてこないでね〜』
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