55.死闘の中に芽生えし思い
【★☆★読者の皆様へのお知らせ★☆★】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
ガンマと相対する王直属護衛軍のひとり、剛剣のヴィクター。
彼は予想外の強敵の出現に驚いたが……それ以上に驚かされたのは、彼の放った一撃の威力。
破邪顕正閃。
恐るべき一射だった。光の速さで、高火力の魔法矢が飛んでくるのだ。
その光に触れたものは無条件で滅せられる。
そんな破壊の光を凝縮して放つ一撃は、まさに……必殺技と言えた。
「…………」
全力全開の一撃を耐えたヴィクターであったが、冷や汗をかいていた。
「(何かしてくるとは思ったが、まさか……ここまでの技とはな)」
ヴィクターの纏う甲冑、【絶対防御将軍鎧】。これがなかったら、やられたのはヴィクターだった。
この鎧は通常時からも高い防御力を装着者に与える。
だが、この鎧の最大の特徴は、【自動攻撃完全無効】スキルにある。
文字通り、どんな攻撃でも、無効にしてしまうという規格外のもの。
不意打ちで必殺技を撃たれたとしても、この鎧は装着者を絶対に守るのである。
だがこの自動攻撃完全無効のスキルには、回数制限が存在する。
今までこのスキルを、一度も発動させなかった。
それがヴィクターの誇りであった。
「(己の鍛えた能力でない力に頼っている時点で二流、と思っていたが……今日ほどこの鎧を着ていて良かったと思った日はないぞ)」
表向き冷静さを保っているヴィクターであったが、それはガンマにつけいる隙を与えないためのやせ我慢であった。
「どうした、魔蟲族。動揺……してるじゃねえか」
「フッ……ばれておったか。いや見事だったぞ、実際。この我が冷や汗をかくくらいにはな」
動揺を悟られてる時点で取り繕うのは無理筋だった。
ならばいっそ、開き直った方がいい。
「だがその攻撃、そう何度も打てないと見た。現に貴様の弓は一発で壊れてしまったからな」
「……ちっ。バレてたか」
ヴィクター同様、ガンマも焦っていたのである。
ガンマの弓はあと4つ。
つまりあと4発しか、全力全開の一撃が撃てない。
……いや、もっと回数が少ないかも知れない。
一撃、破邪顕正閃を放っただけでかなり体力を削られていた。
武具のストックが切れるより先に、自分の体力切れの方が早いかも知れない。
「一度目と違って、我はもうそれを受ける気はないぞ」
「ああそうかい。破邪顕正閃!」
ガンマが真正面から堂々と、全力全開の一撃を放つ。
……と見せかけて、竜の矢だった。
「ブラフ……狙いは……上!」
上空に鳳が出現していた。
蜘蛛の矢で上空に待機させていた鳳の矢まで移動。
ヴィクターの頭上から……。
「破邪顕正閃!!!!!!」
足場が不安定な中での一撃。
ヴィクターは受けるのではなく……。
腰を落として、居合いの構えを取る。
ヴィクターは敵への敬意を払う。ガンマは間違いなく、人類最強だ。
ならば自分も、最強の技で返すまで。
「ぬぅんん!」
ヴィクターは居合いの構えから一撃を放つ。
パリィイイイイイイイイイイン!
ガラスが砕け散るような、甲高い音。
しかしそれはヴィクターの剣が砕け散った音……ではない。
ヴィクターが放ったのは神速の斬撃。
だがこれは相手を傷つける一撃にあらず。
ガンマの放った破邪顕正閃を、はじき返したのだ。
「!?」
ヴィクターがはじいた必殺の魔法矢は、撃った本人へと返って行く。
しかも、ガンマが放ったより速く。
ガンマは、己の撃った全力全開の一撃を、まともに受ける……。
破壊の光はガンマを、そして楽園の森を森を包み込み、すべてを破壊する……。
「ぜえ……! はあ……! はあ……! はあ……!」
「なん……だと……これを避けるか、小僧」
なんとガンマは生きていた。
少し離れた場所に、大の字になって仰向けに倒れていたのだ。
これにはヴィクターも本気で驚いていた。
「わが奥義……【攻撃反射】。攻撃を反射し、倍にして返す、攻防一体の必殺技だ。貴様の全力全開の一撃を、二倍にして返したはずだが……どうやって避けた?」
「きぎょう……ひみつだ……」
ガンマの狩人の目は、敵の放つ技を見て、ある程度どういうものなのか予測していた。
ガンマは新しい黒弓を放ち、伸縮自在の蜘蛛の矢を放っていた。
攻撃がはじかれると同時に、ガンマは魔法矢を縮めてその場から離脱。
間一髪のところで自爆を免れていたのだ。
「「…………」」
お互い、無言。それほどお互いが驚いている。
互いの強さに。
「……ふっ、やるな」
「あんたこそ……」
だがどこかうれしいと思う自分がいることに、ヴィクターは気づいていた。
ガンマもまた笑っている。多分同じ心境なのだろう。
殺し合いのなかで芽生えた、敵をリスペクトする感情。
「これで終わりじゃないのだろう?」
「当たり前だ」
ああ……とヴィクターは思う。
不謹慎だとしても、今自分は。
強敵との戦いに、喜びを覚えている。
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