表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/242

4.盗賊団も瞬殺

ここから新展開です。



 俺、ガンマ・スナイプは、S級冒険者パーティ【黄昏の竜】を追放された。


 その後、級友と再会した俺は、帝国軍にスカウトされた。


 俺は馬車に乗って、級友のメイベル、そして第八皇女アルテミス=ディ=マデューカスとともに街道を進んでいた。


「そんでさ、これからの話なんだけどね」


 俺の隣に座っているのは、赤毛ショートカットのロリ巨乳魔法使い、メイベル・アッカーマン。


「ガンマにはまず【帝都カーター】にあるマデューカス軍の司令部に行くことになるの。そこで正式な入隊の手続きをして、配属される部隊であるうちに行く感じ!」


「なるほど……そうだよな。まずは手続きだよな。あれ、もう配属先って決まってるの?」


「おうよ! 君は我が【胡桃くるみ隊】の隊員となるのだ!」


「くるみ、隊……?」


 なんだか妙な部隊名だ。というか、俺ってそもそも、帝国軍の内部について何にも知らない。


 組織図はどうなってるんだろうか?


「ま、それはおいおい説明するよ。とにかく君はあたしと同じ胡桃くるみ隊のメンバーとなるってこと覚えておいてね」


「わかった。部隊ってことは、メイベル以外にも隊員がいるんだよな?」


「うん! ウォールナット隊長に、副隊長。ひらの隊員があたしとガンマを入れて4人。合計で6人!」


 ウォールナットってやつが胡桃くるみ隊の一番偉い人なのか。


 ん?


「ろ、6人……? たったの、6人なのか、部隊なのに?」

「そう! うちは少数精鋭だから。なにせ皇女様の私設部隊だからね!」


「え!? 私設部隊って……あ、アルテミスの部隊なのか?」

「そーそー! ま、仕事内容とかはおいおい」


「おいおいばっかだな……」

「一度にぜーんぶ説明されてもわからないっしょ?」


「そりゃそうだ。ありがとな、メイベル。気遣ってくれて」

「なーになに気にすんな! これから一緒にやってく仲間じゃん? あたしら!」


 仲間……か。黄昏の竜のやつらも、仲間だったのに、こっちに一切気遣ってくれなかったな。


 一方で、メイベルはすごい気ぃ使ってくれる。何も知らない俺を、無知と嗤うことはしない。

 

 理解できるように、与える情報量についても選んでくれている。


 ほんと、いいやつだ。こいつと一緒に仕事できるなら、楽しくやれそうだ。


「むぅ……」

「な、んでしょう……アルテミス様?」


 正面に座ってる、金髪の美少女皇女さまが、なんだかむくれていらっしゃる。


 な、なにか俺、失礼なことしちゃっただろうか……?


「ずいぶんと、お二人は仲がよろしいのですね?」


 にっこりとお上品に笑うアルテミス。


 だが、なんだろう。笑ってるんだけど、口元がひくついてる……?


 一方であんまそういうの気にしてないメイベルが、笑顔で俺の腕を取る。


 もにゅっ、とメイベルのでかい乳が当たる……!


「そう! あたしたちまぶだちなんで! な! ガンマ!」


「あ、ああ……あの、メイベルさん? なんかアルテミス様が切れてらっしゃるような……」


「まさかまさか! アルテミスが怒るわけないよ。ねー?」


 メイベルはアルテミスと気安い関係のようだ。


 そりゃ、そうか。メイベルの所属する胡桃くるみ隊は、アルテミスの作った私設部隊。


 今日までともに長い時間を過ごしてきたのだろう。だから、相手が皇女っていうより、友達みたいな感覚なんだろうな。


「ええ、怒ってないです。ただちょっと距離が近すぎないかなぁと思っています♡」


「そうかな? そんなことないっしょー! ねー! ガンマ?」


「近いですよね、ガンマ?」


 え、ええー……なにこれ? どういう状況?


 隣にはニコニコ笑顔のロリ巨乳が、ぴたりくっついてる。

 そして正面には美しい皇女さまが、俺に顔を近づけて、凝視してくる。


 ち、近い……いろいろ近い!

 と、そのときだった。


「メイベル。こっちに近づいてるやつらがいる」


 俺はすぐさま、狩人ハンターモードへと意識を移行する。

 

 メイベルも頭を切り替えたのか、手に杖を持つ。


「敵?」

「感じからして、敵だろうな。まだ距離があるが、こっちにまっすぐ近づいてくる」


 アルテミスが目を丸くしながら言う。


「なぜ、わかったのですか?」


「ん? ああ。俺はいつも【鳳の矢フェニックス・ショット】って言って、上空に偵察用の魔法矢を飛ばしてるんだ」


 鳳の矢はモンスターを無条件で攻撃する。


 裏を返すと、モンスター以外には自動での追尾が行われない。


 人間の場合は、一定範囲内に入ってきて、かつ怪しい動きをしているとき、俺に警告が入るようになっている。


 俺がそれを説明すると、アルテミスがキラキラした目を俺に向けてくる。


「すごいです……魔法矢マジック・アローにそんな使い道があるなんて……」


「いやガンマは特殊だよ。普通の魔法矢はこんな使い方できない。狩人としての才能と、ガンマの努力が……魔法矢を極めた結果、こんな規格外な使い方ができるだけだよ。ま、すごいことには変わりないけどね!」


 メイベルもまた俺を褒めてくれる。

 うれしい……。女の子にほめてもらうのって、こんなに気持ちいいことなんだなぁ……。


「っと、メイベル。いちおう護衛用のゴーレム出しとけ」


「ほいほい。【創造魔導人形クリエイト・ゴーレム】! 出でよ、【ぶりきん】!」


 俺はスキル【鷹の目】を発動。周囲を鳥瞰できるようになる。


 メイベルが念じると同時に、俺たちの乗る馬車の周囲に、鉄でできた人形が10体出現する。


「あいかわらず、【錬金】で魔導人形ゴーレムを作る早さはピカイチだな。さすが、【錬金のメイベル】」


「へっへーん! どんなもんじゃい!」


 メイベルの家、アッカーマン家は代々、優秀な土の魔法使いを輩出している。


 錬金、つまり、鉱物を自在に錬成する魔法だ。


 メイベルが得意とするのは、錬金で魔導人形ゴーレムを作り、それを手足のように操ること。


「どうする? あたしがぶっ殺す?」


「いや、攻撃するふりをして、やつらの気を引いてくれればいい。俺がやる」


「おけまる!」


 俺は馬車の窓からおりて、屋根の上に乗る。


 スキル【鷹の目】を発動させたままだ。


「身なりからして盗賊の類いだろうな」


 メイベルの魔導人形ゴーレムにびびって馬を止めている。


 数は……20ってところか。


 俺は自分の弓、妖精弓エルブンボウを構える。


 弦をひいて、矢をつがえる構えを取る。

 ばりばり、と黄色い光を放つ矢が出現する。


「【蜂の矢(パラライ・ショット)】」


 構えて、うつ。

 距離にして5キロ。余裕過ぎる。


 針のように細い矢が、野盗の首筋に当たる。


 ぐったりと力を抜いて馬から落ちる。


 残り19人。俺は遠距離から狙撃。


 やつらからしたら、ほんの一瞬で意識を失ったことだろう。


 俺は敵が動かなくなったことを鷹の目で確認した後、窓のなかに戻る。


「終わった」


「本当ですか!? まだ1分もたってないのに……」


「ああ。まあ野盗が20人くらいだったし、そんなもんでしょ」


「に、20人を!? 1分にも満たない時間で全滅させたのですか!?」


「ああ。これくらい当然だろ?」


 ぽかんとするアルテミスをよそに、メイベルは魔導人形ゴーレムを動かす。

 倒れている野盗どもを回収しているようだ。


「けど相変わらず正確な狙撃だね! 5キロ先の野盗の首筋に、ピンポイントで麻酔の矢を打ち込むなんて」


「ご……!?」


 絶句するアルテミス。

 何に驚いているのかわからない。


「え、これくらいできるだろ?」

「な、なにをおっしゃってるんですか!? 五キロ先に矢を当てるなんて、普通できませんよ!」


「まあ、できるよ。小さい頃から弓の訓練してたらさ」


「できませんよっ……!」


 まあ何はともあれ、皇女さまに近づく不埒ものを撃退できた俺だった。

 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] さすがに限度があるわ。普通の弓で50mだとして、魔法ならその距離ありって思うのは妄想すぎる。
[良い点] めっちゃ優秀なスナイパーだな。 ゴルゴ13も絶句するぞ。 フィンランドに居たら1人でソ連の軍隊を駆逐しそうだ。 スカウトが来るのも当然ですね。
[良い点] ぶりきん? お主、ロボっこビー○ンやガ○親父を知っているのか! まさか半世紀近く前の名前がここで見れるとは。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ