30.一章エピローグ
【★☆★読者の皆様へのお知らせ★☆★】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
改造人間の巣をぶっ飛ばしてから、一週間が経過した。
俺、ガンマ・スナイプは帝都大学附属病院に入院していた。
「よ、ガンマ」「やほー!」
「マリク隊長……メイベルも」
個室のベッドに横になってると、赤髪の魔法使いメイベルが入ってきた。肩の上にはリスのマリク隊長が座っている。
「【筋肉痛】のほうは、治ったか?」
「まあ……大分楽にはなりました」
さて、なぜ俺が帝都大の病院にいるかというと……。
マリク隊長の言うとおり、筋肉痛だった。
全力全開の一撃を決めた後、俺はその場に倒れた。
体が痛くて、一歩も動けなくて、あ、これなんか病気か……と思ったら、まさかの筋肉痛。
「生まれて初めて、神威鉄以上に固い魔蟲製の武器をぶっ壊すほどの膂力を発揮して弓を引いたんだ。筋繊維がぶちぶちに切れても仕方ない」
「いやでも……ほんと良かったよ。しばらく一人で動けなかったもんね~」
「ああ、その節はみんなに、お世話になったよ。ありがとう」
病院に運び込まれて、動けない俺をメイベルをはじめとした胡桃隊のみんなが、介護してくれた。
……そして。
意外なことに、アイリス隊長も。
「メイベル。あのあと、お姉ちゃんとはうまくやってるか?」
俺からの問いかけに、メイベルは笑顔でうなずく。
「うん! 今ではすっかり仲良しだよ!」
「そうか……良かったよ」
「ありがとう、ガンマ!」
「いや……俺はなんもしてないさ」
「ううん。そんなことない。ガンマがいなかったら……大好きなお姉ちゃんといつまでも、仲直りできなかったもん……」
メイベルの瞳に、一筋の涙がこぼれ落ちる。
本当に、うれしいんだろう。良かった……。
「お、なんだ? ちゅーでもするのか? おれはお邪魔かい?」
「し、しし、しないよちゅーなんてー!」
メイベルは立ち上がると、俺を見て笑いかけて言う。
「ガンマ、退院っていつ?」
「来週には復帰できるみたい」
「そか! なら……快気祝いしないとだね! お店予約しておくよ! みんなで焼き肉パーティだ!」
みんなで……か。
いろいろあったけど、やっぱり胡桃隊のみんなが、俺は大事だ。
俺は、これからも……あそこで頑張りたい。
「ああ。楽しみにしてるよ」
「うん! じゃーねー!」
メイベルが帰っていく。多分任務があるのだろう。
マリク隊長は一人残って、ベッドの上に乗ってる。
「さて……ガンマ。イジワルーの処遇なんだが……」
改造人間にされていた、イジワルーはというと。リヒターさんのところで保護されてるそうだ。
人間社会にはもう復帰できない、らしい。
右手が魔蟲にされてるからな。
「……ジョージ・ジョカリは、なにが目的なんでしょうね。改造人間なんて作って」
初めて相対したとき、ジョージはなんかいろいろ言っていた。
だが俺には理解できないことばかりだった。
何を考えてるのか、さっぱりわからない。そもそも人間のくせに、なぜ魔蟲に与するのか……。
「ま、それはこの先、戦っていけば自ずとわかるだろう」
「魔蟲族との戦い……」
「なんだ? 怖じ気づいたのか?」
「まさかでしょ」
俺はベッドサイドを見やる。この一週間、胡桃隊の面々がおいていったものが、おいてあった。
レコード、冷凍果物詰め合わせ、えっちな写真集、誰でも簡単魔導人形作成キット、そして……胡桃とくるみ割り人形。
「俺はこれからも、害虫を駆除していきますよ」
「ふ……そうか。ああそうだ、これおまえに渡しておくわ」
マリク隊長は懐から封筒を取り出して、俺に手渡してくる。
イジワルーをはじめとした、黄昏の竜たちからの、謝罪文が入っていた。
【自分勝手なこといってごめん】
【おまえを認めてあげられなくってすまなかった】
【今までおまえのおかげで、夢見れたよ。ありがとう】
……そして、最後に。
くねくねした文字で、書かれていた。
【ごめんな、がんま】
イジワルーからの、メッセージ。
……俺へのシンプルな謝罪文。
あいつは……反省してるみたいだ。
「どうする? 返事はリヒター経由で伝えられるが?」
「そうですか。じゃあ……一言だけ」
俺はマリク隊長に、笑いかけていう。
「もういいよって、伝えておいてください。俺はもう、幸せだから」
もう二度と、俺たちの道は交わらないだろう。
でもしょうがない。道は分かたれた。
過去を変えることは誰にもできないんだ。
「そっか。じゃあ伝えておくよ。達者でな、ガンマ。ちゃんと治せよ」
「ええ、また」
マリク隊長はぴょんとベッドから降りると、そのまま出て行った。
俺はふと、手紙が、もう一通あることに気づいた。
黒い封筒に入った、黒い便せん。
中を開けると、そこには一言。
【早く元気になってくれ。おまえに、話したいことがたくさんある。ありがとう】
俺が手紙を読むと、黒い手紙は便箋ごと消えてしまった。
影で作られたものだったのだ。
俺が読むと消えるように、作られていたのだろう。
誰が送ったのかなんて、わかってる。
なんでこんな手段で、お礼を伝えてきたのかも。
「さて……さっさと体治さないとな」
いろいろあった。
パーティを追放されてから、今日まで。
たくさんのつらいことがあった。
たくさん失ったものがあった。
けれど……俺は今、満ち足りている。
人生、生きてりゃ失うことも多いけれど、ただ失うばかりじゃあない。
こうして今まで手に入らなかったものが、手に入るかもしれない。
だから……人生は楽しいんだ。
「がんばろ、これからも。大変だろうけど……みんなのために、頑張ろう」
【★お知らせ】
これにて第一章は完結となります!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
次話からも頑張って更新していきますので、なにとぞよろしくお願いします。
そして、皆様にお願いです。
現時点でかまいませんので、少しでもおもしろい、続きが気になる!
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二章以降も、頑張って執筆しようというモチベ向上につながります。
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