239.幸福
《ガンマSide》
俺は陛下との謁見を終え、その他の用事を終え、軍の寮へと戻ってきた。
「おっかえりー!」
「メイベル」
俺の恋人となったメイベルが、エプロン姿で出迎えてくれた。
……そう、俺たちは今、同棲している。
メイベルがずっと一緒に居たいといって、俺も同じ思いだったので、じゃあ……ということで同棲がスタートしたのだ。
単身寮から、家族寮へと移って、そこで二人で住んでいる。
俺たちはリビングで並んでご飯を食べながら話す。
「おそかったねー。陛下との謁見が長引いてたの?」
「いや……そのあと、帝立病院にいってきた」
「ああ……元冒険者の仲間のところ?」
「そう」
俺を追放した冒険者のリーダーが、収容されている病院だ。
「あいつも、元の人間に戻れるってさ」
元リーダーのあいつは、ジョージ・ジョカリによって改造魔蟲人間にされていた。
でも、魔蟲王が死亡し、魔蟲細胞が失活しだしてるため、元の人間に戻れるそうだ。
しかも、俺より早く。
「そっか……これでじゃあ、めでたしめでたしだねっ」
「そうだな」
メイベルが赤い顔をして、もじもじしだす。
「ねーえ、ガンマぁ……だめぇ?」
メイベルがその、性行為を求めている。
「だ、駄目……。俺の中には、まだ魔蟲細胞があるんだ。おまえとその……したら、子どもにその細胞が発現するかもしれない」
「でもじゃあ、細胞がなくなるまでおあずけとかっ。生殺しにもほどがあるよっ!」
「ごめんって……我慢してくれ」
「ちぇ……まあいいよ。我慢します。それほど待たなくていいんでしょ?」
「ああ、リヒター隊長がいうには、人間に戻るのに、そう時間はかからないって」
「そかそか。よかったねえ!」
ああ、本当に、良かった……。
魔蟲は滅びた。
帝国には妖精郷という、莫大な資源の宝庫を手に入れた。
帝国民たちはもう魔蟲に怯えなくてすむ。
みんな、幸せだ。
そして……俺も。
「メイベル。愛してるよ」
するとメイベルは最高の笑顔を俺に向けてくれる。
「うん! あたしもっ」
次回、最終回です。