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238/242

238.成就



《オスカーSide》


 ガンマが皇帝陛下に謁見してる一方、オスカーはリヒター隊長の元を訪れていた。


「やぁ隊長!」

「…………」

「隊長?」


 リヒターは椅子に座り、ぼうっとしていた。

 物で溢れかえっていたはずのラボは、今はがらんとしてる。

 

「隊長、どうしたのだね? 荷物がないじゃあないか。まるで、引っ越しするみたいじゃあないか?」

「ああ……」


 リヒターはうなずいて言う。


「軍を辞めようと思ってるんだ」

「!? どうしてだね……?」

「なんでだろうね、もう……頑張る理由もなくなったから、かな」


 リヒターには天才である兄を越えたい、という思いが胸にあったそうだ。

 兄を倒し、凌駕することができた。


 ……そして動機と目標をいっぺんに失ってしまったという。


「……やめてどうするんだい?」


 彼女の意志を尊重したいという気もちはある。


「さぁ……わからない。何も決めてない」

「そうか……」


 でも。

 オスカーはリヒターの前まできて、頭を下げ、手を差し出す。


「じゃあ、僕と付き合ってください!」

「……………………は、はぁ!?」


 リヒターは目をむく。


「な、何を馬鹿な……」

「僕は貴女を尊敬してる。あなたのことがすきなのだよっ!」


「ちょ……ほ、本気?」

「本気さ! お願いだ、隊長……ボクを君の、生きる理由にしてくれたまえ!」

「…………」


 オスカーは真剣な表情でそういう。

 他のどの女性でもなく、目の前にいるこの人のことが好きだ。


 この人のために生きたい、この人のさみしさを埋めてあげたい。

 今はそう思っている。


「……オスカーくん」


 リヒターは照れながら、その手を握る。


「ありがとう。君にそう言ってもらえてうれしいよ。……うん、そうだね。もう少し、ここにいようかな」

「ほ、ほんとかい!? そ、それってつまり……」


 リヒターはうなずいて言う。


「うん。君の、カノジョにしてください」

「た、隊長ぉ~!」


 がばっ、とオスカーがリヒターに抱きつく。

「わはっはあ! ついにカノジョができたよぉ! 兄弟ぃいいい!」

「ちょ、だから声がでかいっ!」


「隊長! 一生幸せにしてみせるからねえ!」


 リヒターは除隊せず、軍に残ることになった。

 そしてオスカーは念願のカノジョを手に入れるのだった。


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