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【完結】S級パーティーから追放された狩人、実は世界最強 ~射程9999の男、帝国の狙撃手として無双する~  作者: 茨木野
第3章

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235.敗北



《魔蟲王Side》


 魔蟲王は、敗北を悟っていた。

 この黒龍状態になった瞬間である。


 時間停止を破られ、巨大化してみせたが、しかしこの体はデカくなっただけだ。

 ガンマ・スナイプが時間停止に対応した段階で敗北は確定していたのだ。


 それでも、認めたくなかったのだ。

 自分が無駄だと、矮小だと断じて捨てたものに……負けるという事実が。


 魔蟲王は人間をずっと見下していた。

 愚かで、脆弱なるこの存在のことを。


 ……しかし人外となった自分を凌駕したのも人間ガンマだし、自分にとどめを刺したのも人間リヒターだ。


「リヒター……」


 妹の仕掛けた超高性能爆薬。

 大気中の酸素と魔素マナを吸って、無限に爆発する異次元の爆薬だ。


 魔蟲王は体を焼かれながらつぶやく。


「私の負けだ」


 黒い蟲たちが死んでいく。

 ボトボトと落下していく。


 光の網がそれら黒い虫たちを集める。

 これは……ジョージ・ジョカリが作った虫かごの結界だ。


 ……妹が、兄が作った装置を流用しているのだろう。

 人間を逃がさない結界を、蟲だけを逃がさない結界にしてた。


 これが、人間の強さ。敗北から強さを学ぶ、力。

 常に強者だったジョージ・ジョカリには無かったものだ。


「リヒター……」


 黒い蟲が網の中に閉じ込められる。

 

「人間は……素晴らしかったんだね」


 負けたというのに、ジョージの心の中は晴れやかだった。


 かっ……! と下から破壊の光が波濤のように押し寄せる。

 人型決戦魔導人形兵に載ったガンマが放った魔法矢だろう。


 魔法矢は黒い蟲、そして魔蟲王ごと、一気に消し去る。


「君たちの勝ちだ、人類……」


 ジョージの体が消えていく。

 だが痛みをまるで感じなかった。


 ……やがてジョージの意識は消える。

 呪いの言葉も、怨嗟の叫びもあげず、彼はこの世から退場したのだった。


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