231.組織
強化合成矢で、上空の蟲どもを焼き払っていく。
数え切れない魔法矢が、この星を覆う黒い蟲どもを消していく。
「いけるぞ! ガンマ! このままなら勝てる!」
マリク隊長が肩の上でそういう。
言った後に、「あ、やべ!」と声を張り上げた。
そう……勝ちを確信した瞬間が、一番の隙なのだ。
敵はこの隙を突いてくるはず。
「! ガンマ! 上!」
メイベルに言われて頭上を見上げる。
ずずずずずず……!
黒い雲から、黒い雨が地上へと降り注いでいる。
「雨じゃあねえ! 蟲だ! しかも……通常サイズの虫だ!」
魔蟲は人間と同じくらいの大きさをしてる。
だが今降ってきてるのは、通常の、小指の先くらいしかない蟲である。
「弱体化してるってこと?」
「いや、違う」
俺は敵の狙いに気づいていた。
なんて野郎だ。
「敵は……サイズを小さくしたことで、こちらの攻撃を回避しようとしてる」
「? どういうこと?」
こちらは500メートルを超える巨大な魔導人形。
一方で、魔蟲はサイズを小さくして、小指の先くらいになっている。
「あ、そっか! 小さすぎて、攻撃が当てられない!」
「そういうことだ。こざかしいことを考える」
こちらが巨大化したとみるや否や、対応してきた。
多分ジョージ・ジョカリが、対応してきたのだろう。
巨大化により理性を失ってもなお、やつは俺たちに勝とうとしてる。
その執念は、あっぱれだ。
「だが、こちらも対応させて貰った」
俺はすでに手を打っている。
黒い雨が人型決戦魔導人形兵にまとわりつく。
魔導人形の装甲の隙間から、魔蟲が入り込もうとする。
どごん!
「あっはっはー! オスカーおよび胡桃隊、ただいま推参!」
全国に散っていたはずの、胡桃隊の面々が集まってきていた。
「君の呼びかけに応じて参上したよ、兄弟!」
オスカー達が魔導人形の周りを飛び回り、細かい虫たちを削っていく。
「こっちは任せな! 今は敵に集中するんだ!」
「ああ、ありがとう」
一人で戦わなくていい。
一人一人の力を束ねて戦う。
これが、組織の力だ。
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