228.人型決戦魔導人形兵
オスカーを守るように現れたのは……巨大な蟲だった。
「魔蟲……?」
自分で口にしながら、しかし、その考えを否定する。
目の前のそれは、確かに魔蟲に似ている。
巨大で黒く、硬そうな体をしてるから。
しかし、こちらに敵意を向けてこない。
それに……デカい。
今まで見たどの魔蟲よりも大きいのだ。
「100メートル……? いや、それよりもっと……なんだね、あの大きな魔蟲は?」
『あれはおれとメイベル、そしてリヒターで開発した、人型決戦魔導人形兵だ』
「ひ、人型決戦魔導人形兵……? 魔導人形なのかい!?」
『ああ、魔蟲の死骸をつなぎ合わせて作った、魔導人形だがな』
信じられない。
500メートルを優に超える魔導人形などみたことない。
『あれだけデカいと、その体を維持するのは不可能だ。自重で崩れちまう。けれど、魔蟲の硬い外殻を使うことでそれを支えている。あとは、優秀な錬金術師がブレーンとなって、操作系を補助すれば……問題なく動く!』
あの巨大すぎる魔導人形の中にはメイベルがいるのだろう。
彼女は魔導人形使いだ。
しかも、とびきり優秀なである。
そこ加えて、おそらくガンマものっている。
先ほどオスカーを助けたのは彼が得意とする竜の矢だった。
けれど、500メートルの巨体から放たれたそれは、尋常ならざるダメージを黒龍に与えていた。
「はは……」
オスカーは安堵の息をつく。
そして、ぐっ、と拳を突き上げる。
「全てをおわらせてくれ、兄弟!」
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