218.集結
メイベル救出部隊が、俺たちと合流した。
オスカー、アイリス隊長、リフィル先生、シャーロット副隊長。
そこに加えて、魔蟲王討伐部隊である、俺、フェリサ、リコリス、マリク隊長、そしてリヒター隊長。
胡桃隊+α、勢揃いである。
「感動の再会のところ、申し訳ありませんが……事態は急を要します」
リヒター隊長が全員を見渡す。
そうだ、まだすべて解決したわけじゃない。
「現状を説明します。兄……ジョージ・ジョカリは魔蟲王となりました。ガンマ君のおかげで魔蟲王はあと一歩で死ぬところまで追い詰めました。ですが、死の淵まで追い込まれたやつは、黒龍へと進化しました」
空は黒く染まっている。
龍の体はよくみると、無数の魔蟲が集合してるのがわかる。
「あの黒龍は蟲どもで構成されてます。厄介なことに、蟲が一匹でも生きてると、そこから増殖する性質を持つようです」
つまり俺たちがするべきことは、ほぼ同時に、最大火力をぶち込み、やつを一撃で葬り去る必要があるってことだ。
「しかしあんなデカいものを、一撃で葬り去るなんて不可能じゃないかい? いくら我が兄弟、ガンマであっても……さすがに……」
確かに俺の最大火力を持ってしても、一瞬ですべてを焼きうことはできない……。
「それについてはおれに考えがある」
マリク隊長がひょこっ、と手を上げる。
「メイベル、【あれ】を使うぞ」
「あれだね……隊長!」
あれ……?
「天才魔道具師であるこのおれと、天才錬金術師であるメイベルが密かに開発していた最終決戦兵器を使う」
「最終決戦兵器……?」
そんなものが……。
「おいおい隊長、そんなものがあるなら、最初から使いたまえよ」
オスカーが至極もっともなことを言う。
「悪いな。この兵器、起動させるにはメイベルが必要だったんだ」
なるほど、だから魔蟲王との戦いではつかえなかったのか……。
「でも、なんで俺も?」
「ガンマには最後の仕上げを任せたい」
「兵器の起動、操縦はアタシでもできるけど、魔蟲王にとどめを刺すのには、ガンマの射撃の腕が必要なんだ」
なるほど、なんとなく、作戦の概要が見えてきたぞ……。
「つーことで、一端おれらは帝都に戻る。その間、足止めを頼むぜ皆!」