216.黒い龍
魔蟲王が進化した。
龍のような、奇妙な合成獣だ。
「まずいです……龍がどんどんその体を大きくしてますね」
リヒター隊長が天を仰ぎながら言う。
確かに、空が龍に覆われていく。
「このままではこの星を、あの龍に食べられてしまうやもですね……」
早めに討伐しなければいけないようだ。
俺は憤怒の矢で攻撃しようとする。
放たれた矢は龍の胴体を貫き、爆発を開始する。
だがすぐに爆発が収まってしまった。
俺は龍をよく観察する。
胴体と思わしき場所には、無数の蟲が集まっているのがわかった。
「隊長。どうやらあの龍は、数え切れないほどの蟲が合体して形をなしてるようです」
憤怒の矢はあくまで当たったやつ1匹に対して、連鎖爆発をおこす。
あの龍は蟲の集合体。
だから、1匹の蟲を倒しただけで、爆発が終わってしまったのだ。
「あの龍に攻撃しても、新しい蟲が生み出され続ける。倒すためには、すべての蟲を一瞬ですべて葬り去る必要があるようですね」
……中々難易度が高そうだ。
これは、さすがに俺一人じゃ……。
と、そのときだ。
「ガンマぁ!!!!!!!!!!!」
……振り返る、その先にいたのは。
赤髪の、美しい少女。
「メイベル……メイベル!!!!!!!!」