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208/242

208.能力



 魔蟲王は俺の憤怒の矢(ラース)習得ラーニングしやがった。


「そら、ピンチだぞ胡桃隊!」


 魔蟲王が両手の五指を広げる。

 指先から憤怒の矢(ラース)を発動させようとしていた。


 俺はやつが打つよりも素早く、敵の腕を打ち落とす。 


「早撃ち勝負では勝てないか」

「……!」


 フェリサが懐に接近し、両手の斧で魔蟲王を切りつける。

 体を切断したはず……だが。すぐに体が元に戻る。


「なんやねんあいつ!」


 リコリスがキレる。気持ちはわかる。こちらが頑張って攻撃しても、すぐに再生してしまうのだ。


「……超再生能力ですかね」


 俺はリヒター隊長に尋ねる。

 魔蟲族は元々、人間を凌駕する再生能力を持っていた。


「それ【も】あるだろうね」

「……も?」

「ああ。再生能力の早さだけじゃ、説明付かない事象がいくつかある」


 魔蟲王が両手に黒いバスターソードを出現させる。

 ヴィクターの剣だ。フェリサに斬りかかろうとする。


 フェリサは正面から剣を受けとめようとする。

 ザシュッ!


「ぐっ……!」

「フェリサ!」


 フェリサの背後に魔蟲王が回っていた。

 ……おかしい。俺の目で、やつの動きが追えなかった!


 リコリスがすかさず治癒魔法をかける。

 フェリサはバク転しながら距離を取った。


 どうなってやがる。あいつの早さは尋常じゃない。


「まさか……」


 リヒター隊長がつぶやく。額に汗をかいてた。


「わかったんですか、やつの能力が?」

「……うん。多分だけど、魔蟲王は……時を止めてる」


 時を……止めてる……?

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