208.能力
魔蟲王は俺の憤怒の矢を習得しやがった。
「そら、ピンチだぞ胡桃隊!」
魔蟲王が両手の五指を広げる。
指先から憤怒の矢を発動させようとしていた。
俺はやつが打つよりも素早く、敵の腕を打ち落とす。
「早撃ち勝負では勝てないか」
「……!」
フェリサが懐に接近し、両手の斧で魔蟲王を切りつける。
体を切断したはず……だが。すぐに体が元に戻る。
「なんやねんあいつ!」
リコリスがキレる。気持ちはわかる。こちらが頑張って攻撃しても、すぐに再生してしまうのだ。
「……超再生能力ですかね」
俺はリヒター隊長に尋ねる。
魔蟲族は元々、人間を凌駕する再生能力を持っていた。
「それ【も】あるだろうね」
「……も?」
「ああ。再生能力の早さだけじゃ、説明付かない事象がいくつかある」
魔蟲王が両手に黒いバスターソードを出現させる。
ヴィクターの剣だ。フェリサに斬りかかろうとする。
フェリサは正面から剣を受けとめようとする。
ザシュッ!
「ぐっ……!」
「フェリサ!」
フェリサの背後に魔蟲王が回っていた。
……おかしい。俺の目で、やつの動きが追えなかった!
リコリスがすかさず治癒魔法をかける。
フェリサはバク転しながら距離を取った。
どうなってやがる。あいつの早さは尋常じゃない。
「まさか……」
リヒター隊長がつぶやく。額に汗をかいてた。
「わかったんですか、やつの能力が?」
「……うん。多分だけど、魔蟲王は……時を止めてる」
時を……止めてる……?
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