195.Bチームの勝利
オスカーの放った超電磁魔砲の一撃。
だが……撃った本人が、わかっていた。
「くそっ! 取りこぼした!」
超電磁魔砲を放つ瞬間、人面樹は自分の肉体を分離して、生き延びたのだ。
ばき、ばきばき!
樹木は凄いスピードで生長、そして繁殖を始める。
「はあ……はあ……もう一発……くそっ!」
超電磁魔砲は連発できない。
もう一度使うためには、エネルギーを充填する必要がある。
さらに、充填し終わったとしても、また避けられるかもしれない……。
が。
オスカーは、言う。
「みんなぁ……! 力を貸しておくれよぉ!」
オスカーの言葉を聞いて、胡桃隊の面々がうなずく。
そして、アイリスも。
「任せろ! マリク! リフィル!」
「「了解!」」
マリクたちがアイリスのもとへ行く。
そして、彼女に、持っていたものを投げた。
「おれの作った魔道具……魔力丸! おれらの魔力を、使えぇ!」
魔力丸。
魔力を注入し、他者に分け与えることのできる魔道具だ。
アイリスはマリク達の魔力を受け取ると、影を広げる。
「影縛り!!!!!!!!!」
部屋全体に広がる、樹木全ての影を、アイリスが止める。
捕縛から逃れようとする人面樹だが……。
「魔力が無くっても、魔道具は使えるんだぜぇ! いくぞリフィル!」
マリクの作った爆弾を両手に、リフィル達が応戦。
全員が必死になって、人面樹の動きを止める。
「充填完了だ! いけるよ!」
アイリスは、渾身の力を振り絞る。
影でしばったやつらを、一点に集め、動けなくする。
オスカーは超電磁魔砲を構える。
仲間達が死力を尽くして、手に入れたチャンス。
「絶対当てる! 食らええええええええええええええええええええええ!」
2発目の超電磁魔砲の一撃が人面樹を飲み込む。
大量に居た人面樹たちは、全員……消し炭になっていた。
ただ一人……リューウェンだけが、残される。
彼は黒焦げにになっても、なお……。
「がふっ!」
「おお、生きてやがる。タフだなぁこいつ」
本来なら、超電磁魔砲が全てを焼き消すはずだった。
しかし、リューウェンの持つ生来の、体の頑丈さがあったおかげで、生き延びることができたらしい。
全員がその場にへたり込む。
「か、勝ったぁ……」
だが、アイリスだけはしゃがみこまず、部屋の奥へと進む。
そこには、いくつかの培養カプセルがあった。
その中の一つ。
「メイベルぅううううううううう!」
メイベルが、カプセルの中で目を閉じてる。
アイリスは影のナイフでカプセルを破壊。
中から妹を取り出して、必死に肩を揺する。
「かはっ! はぁ……はぁ……お、おねえ……ちゃん……?」
目を覚ましたメイベルを見て、アイリスは涙を流し、最愛の妹を抱きしめる。
オスカーは、安堵のあまり……気絶する。
「オスカー!」
マリクとリフィルが駆け寄ってくるのが見えた。
でも、もう起きていることができない。
自分はこれで戦線離脱だ。
でも……オスカーは満足だった。
友達との約束を、果たすことができたのだから。
【★☆読者の皆様へ 大切なお知らせです☆★】
新作の短編投稿しました!
タイトルは、
『おばさん聖女、隣国で継母となる〜偽の聖女と追放された、私の方が本物だと今更気づいて土下座されても遅い。可愛い義理の息子と、イケメン皇帝から溺愛されてるので〜』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n0580ix/