187.生きてる
オスカーたちは大樹根元に広がるダンジョンを攻略していく。
捕らわれている人たちを救い出し、アイリスの影転移を使って、帝都へ送っていく。
「…………」
オスカーは、気づいていた。
メイベル、そして拉致された皇帝の姿が、ないと。
脳裏によぎるのは、最悪の可能性。
すなわち、地下牢には二人がいないのかもしれない……と。
友と約束したのだ。
メイベルは、必ず自分が助け出すと。
……ひょっとしたら、もう実験に使われてるかもしれない。
自分が殺した改造魔蟲のなかに、メイベルが……。
「安心しろ」
ぽん、とマリクがオスカーの肩を、尻尾で叩く。
「隊長……」
「メイベルは生きてるよ。あいつは強い女だ」
「しかし……」
「仮に魔蟲に改造されてたとしても、絶対に人を襲わない。そういう女だ。わかるだろう?」
……確かにその通りだ。
彼女は立派な軍人だ。
今まで倒してきた魔蟲はどれも、こちらを殺そうとしてきた。
冷徹な殺戮マシーン。
メイベルとは、まるで違う。
「安心しろ。妹は生きてる。魂で、繋がっているからな、姉妹は」
アイリス隊長が、笑っていた。
いつも無愛想な彼女がである。
「……そうだね」
オスカーは思い直し、探索を続ける。
ややあって。
オスカーは大きな牢屋の前にやってきた。
そこには……一人の男が、陣取っていた。
「あんたは確か……神聖皇国の……!」
神聖皇国。
生誕祭に参加し、魔蟲と内通していた、敵国。
神聖皇国の聖騎士、リューウェンが、険しい顔をして、牢屋の前に立っていたのだった。
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