177.班分け
妖精郷にて、最終作戦が決行されることになった。
1.魔蟲王の討伐、そして2.捕虜の奪還、この二つが今回の主なミッションである。
妖精郷の外に、帝国軍は天幕を張る。
俺は作戦決行前に精神統一していた。
「…………」
メイベル……。
俺、おまえのこと好きだって、やっと気づいたよ。
ほんと、遅くなってごめん。
「やあ我が友よ」
「オスカー」
胡桃隊のアタッカー、銃使い(最近銃槍も使う)、オスカーが話しかけてきた。
「緊張してるのかい? 明日は、君大変な役割を任されてるからね」
「…………ああ」
俺の役割は、魔蟲王の討伐。そっちのグループに所属させられたのだ。
……本音を言えば、捕虜救出に向かいたかった。
「ほんとはメイベルの方にいきたかったんだね」
「…………」
驚いた。俺の思ってて、しかし口にしてないことを、言い当ててきた。
「わかるさ。君にとってメイベルは大切な人、って今さら気づいたんだろ」
「…………ああ」
なんてことだ。俺より先にオスカーが気づいてたなんて。
……どんだけ俺は鈍感なのだ。
「君は我が帝国軍で今や1人しかいない、SSランクの隊員だからね。討伐の方に配属させてるのは、しかたない」
SSランク隊員は3人いた。
しかしそのうち2人は、魔蟲との討伐作戦で落命してしまったそうだ。
まあ、正確には生死不明らしいが。
「メイベルを、君の大事な人を取り返すのは、僕に任せておきたまえ」
チームを今回AとBに分けることになった。
Aチームは魔蟲王討伐に、俺、シャーロット副隊長、フェリサ、リヒター隊長。
Bチームは、捕虜奪還に、マリク隊長、アイリス隊長、オスカー、リフィル先生。
こういう布陣だ。
「この命に誓って、我が友の大事な人を必ず連れて帰る。だから、君は君の役目を果たせ」
いつもチャラついてるオスカーが、このときばかりは、真面目な顔をしていた。
……俺は目が良い。オスカーからは、本気が伝わってくる。
「……ありがとう。メイベルを、頼む」
俺はオスカーにそう言うと、彼は不敵に笑ってみせた。自分にできないことを任せる。昔はそんなことできなかった。狩人は孤独な職業だから。
でも軍人になって、こうしてチームで動くように成って……これもまたいいなって思えるようになっていた。
人を信じて、託すってこと……悪くないなって。