154.軍人
ファリサは魔蟲属がひとり、肉弾のフンコロと相対している。
帝都のなか、建物屋上にたつ巨大フンコロガシめがけて、フェリサは突っ込む。
敵をよく観察するガンマとは対照的に、フェリサの信条は見敵必殺。
敵がなんだろうと、どんな力を持っていようと関係ない。
速攻で、倒せばいい。
同じ狩人でもたたかいかたは異なるのだ、
「…………!」
手斧を使った、強烈な一撃をフンコロにお見舞いする。
フェリサは人よりもかなりパワーがある。
小柄だが、素の肉体には筋肉が詰まっているのだ。
人外魔境一の怪力の持ち主が放つ一撃。
だが……手斧はフンコロを捕らえることなく、建物の床を砕いた。
どっがっしゃぁああああああん!
『ほんげえ! すんごい一撃や!』
フェリサの頭の上に載っているリコリスが、そう叫ぶ。
だがフェリサは内心で焦っていた。
完全に、蟲は潰したはずだった。
敵の頭を確実に、たたき割ったはず。
だというのに、斧が敵を割れなかった。
何らかの特別な力が働いたのだと思われた。
「…………」
崩れゆく建物。
フェリサはがれきを蹴って、その場から距離を取りながら、さっき起きた現象について考えていた。
魔蟲族は固い外殻を持つと、胡桃隊の技術者、リヒターが言っていた。
だが……違う。
固いものを叩いたのだったら、手がしびれるような感覚がしたはずだ。
なんなのだろうか。
敵に攻撃を当てた……とおもったら、当たらなかった。そんな得体の知らない感覚があった。
「…………」
狩人の勘がつげている。
一度撤退した方が良いと。
基本的に狩人の戦いは、ヒットアンドウェイ。
チャンバラなんてしない。意味が無いのだ。
敵を殺す。
殺せなかったら一旦引く。
だが……。今はそれができない。
フェリサは、もう狩人ではなく、人を守る軍人なのだから。
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