152.妹、がんばる
《フェリサSide》
帝都を襲撃してきた、魔蟲族達。
味方であるはずの神聖皇国が裏切ったことで、帝都は結界に包まれてしまった。
対魔蟲族用に作られた、王女直属の私設部隊、胡桃隊は、この襲撃にたいして手分けして対処することになった……。
ガンマは護衛軍のヴィクターと戦っている。
オスカは護衛軍の一人幻惑のモルフィンを撃破。
シャーロットは皇国の聖女シャンテを捕縛。
と、部隊の面々が活躍する一方……。
ガンマの義妹、フェリサ・スナイプもまた、戦っていた。
彼女は怪力の使い手である。
建物ほどの大きさの魔蟲を……。
「…………!」
ひとりで持ち上げて、結界に向かって投げ飛ばした。
巨大魔蟲は結界にぶつかって、粉々に砕け散る。
『やっぱフェリサ姐さんの怪力はすごいなぁ!』
「…………」
フェリサの頭の上には、妖精の少女が乗っている。
彼女はリコリス。
ガンマの故郷、人外魔境にて出会った妖精の少女だ。
故郷での戦いを終えたあと、彼女もフェリサと同様に、胡桃隊に入っていたのだが……。
「…………」
じーっ、とフェリサはリコリスを、恨めしそうな目で見てくる。
『な、なんや? わいがサボっとったってか? おおそうや! さぼっとったわ! 文句あるかい! 帝都楽しいものばっかりやからな!』
この妖精、どうにもあまり真面目な性格をしてるとは言いがたい。
任務の時も大抵姿を現さないのだ。
まあ、リコリスがいなくても、胡桃隊のメンツはみな強い……。
特に兄は最強なので、いなくても問題ないのだが。
『わ、わいをお荷物やおもってるやん!』
このリコリス、人の心を読む力を持っている。
無口なフェリサの思考を読み取って、会話していた。
……無駄な力だ。
『無駄ちゃうわ……! って、姐さん! あぶない!』
そのとき、フェリサめがけて、巨岩が降り注いだ。
フェリサは飛び上がってそれを避ける。
「ふぇふぇふぇ、これを避けるとは、なかなかやりますねえ」
『だ、誰や……!?』
フェリサとリコリスは、建物の上に載っている魔蟲族を見つめる。
……相手は小柄だが、しかしかなりの力を秘めているのが、肌で伝わってきた。
『あいつも……ただもんとちゃうで……!』
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