147.山猫姫と氷姫
《シャーロットSide》
胡桃隊副隊長、シャーロットは冷静に敵を凍りづけにしてた。
彼女の新しい錬金武装、氷双剣。
剣とついてはいるものの、彼女の手には何もない。
代わりに、彼女の周囲には無数の氷の剣が浮いてる。
彼女の錬金武装は、指輪の形をしてる。
左右の手に嵌められた指輪は、大気中の水分を凍らせ、剣を作り出す。
そして自在に操ることができる。
襲い来る無数の魔蟲にたいして、氷の剣を射出。
ずどどど! と凄まじい早さかつ速度で、敵の蟲どもを凍りづけに、そして砕いていった。
「ふぅ……」
ガンマほどではないけれど、中距離での戦いにおいて、シャーロットは無敵だ。
住民の避難誘導をしながらも、蟲の撃退もできる。
指揮も攻撃も両方イケる、それが胡桃隊副隊長、シャーロットという女だ。
「…………」
だがシャーロットは油断していなかった。
敵がこの程度なわけないと。
ガンマはヴィクター、オスカーはモルフィンと、魔蟲族との戦闘を余儀なくされている。
ならばこちらにも敵が回されてくるだろうと予想はついた。
そして……来た。
「フッ……!」
「しゃー!」
恐ろしい早さで何かが飛びついてきた。
シャーロットは氷の剣を集中させて、敵の攻撃を防いだのだ。
「……たしか、神聖皇国の」
山猫のような聖女、シャンテ。
彼女……皇国の聖騎士が襲いかかってきたのである。
「裏切り者……ですか」
今回の魔蟲襲撃には、皇国も手を貸してると通信で入ってきていた。
リューウェンも裏切っていた。
ならばリューウェンのバディである、このシャンテも、襲ってきてもおかしくはない。
「……拘束します」
「やってみろ!!!!」




