138.急変
……帝都にて異常が発生した。
俺、ガンマは今日、皇帝の生誕祭の警護に就いていた。
聖騎士たちの異常な動きに、気づいた俺は指示を送る。
しかし聖騎士たちはあろうことか、抵抗の意思を見せてきたのだ。
俺はすぐさま援護射撃を行おうとした。
だが……。
「これは……結界か!」
帝都の4方向から謎の光が発生した。
帝城を中心として、四角錐の光の結界がすさまじい速さで完成したのである。
力の出所を感知できなかった。
おそらくは地下に、結界発生の装置があるのだろう。
「すぐに連絡を……」
「きゃあ!」「蟲だぁ!」「蟲だぁ!」
突如として地下が盛り上がり、そこから魔蟲どもがわいて出てきたのだ。
俺はすぐさま魔蟲をぶち抜く。
『がんま! メイベルが!』
……隊長からの通信。
意識を隊長側へと向けると、そこにはリューウェンのやつとメイベルが相対していた。
俺は街の人を守りながら、メイベル側へと矢を放った。
しかし……。
ぱしゅっ、と魔法矢を受け止めるやつがひとり。
「ヴィクター!」
「…………」
魔蟲族にして、強敵。
剛剣のヴィクターが俺のすぐ上空へと現れたのだ。
「おまえらか……今回の騒動の原因は!」
俺は知らず熱くなっていた。
……駄目だ。冷静になれ。
狩人は熱くなってはおしまいだ。
一方でヴィクターは……なぜか知らないが、悔しそうに歯がみした後に剣を抜く。
「剣で語る」
「ああそうかい」
おそらくはジョージ・ジョカリが手を引いているのだろう。
魔蟲族と手を組んでいる、やつが全ての黒幕だ。
メイベルを助けたくても、今は無理だ。
ヴィクターは片手間で倒せるやつじゃない。
それに……街の人たちも守らないといけない。
「こい、ガンマ」