136.交渉
メイベルは新しいゴーレムを使って、聖騎士リューウェンを包囲した。
武装したゴーレム、その数は20。
たった20と侮ることなかれ。
彼らは魔蟲族の素材を作られた、新型ゴーレム。
彼ら1体が魔蟲族に匹敵するほどの強さとスピードを持つ。
しかし……。
「お嬢さん、見過ごしてはくれぬでござるか?」
この数のゴーレムに取り囲まれてるとしても、リューウェンはみじんも動揺を見せなかった。
その余裕の姿に、逆に動揺してしまうメイベル。
「……隊長、どうしよう」
「……時間を稼げ。味方が来る」
肩に乗ってるリスの隊長、マリクがメイベルに指示を出す。
彼は慎重だった。
メイベルの新型ゴーレムの強さは、共同で開発したマリクも重々承知だ。
かなりの強さがある、とわかっている。
それでも慢心せず、様子見を選択した。
それは彼が優秀な指揮官であるがゆえにだ。
メイベル一人だけなら、勝てると思って突っ込んでいただろう。
「何をしてたの? こそこそと」
「……それは言えぬでござるな」
「どうして? あたしたち、仲間でしょう? なんで隠し事なんてするの?」
仲間という単語に強く反応を見せるリューウェン。
ぎゅ……と下唇をかむも、すぐに冷静な姿を取り戻す。
「お嬢さん、たしかに我らは仲間であった」
「……! メイベル! 攻撃だ! やれ!」
ばつんっ! と周囲を取り囲んでいた強化ゴーレムが、一気に消し飛んだ。
「すまぬが、邪魔するなら押して参る、でござるよ」