133.告れよ
一方、帝都東部では、メイベルとマリク隊長が定位置についていた。
メイベルは魔導人形を作って、周辺の警備にあたらせている。
メイベルの肩の上にはマリクが乗っていた。
「おいメイベルよぉ」
「なに、隊長?」
「これ終わったら、ちゃんと告れよガンマに?」
「ぶっ……! は、はぁ……!? な、何言ってるの急にっ!」
メイベルが顔を真っ赤にする。
マリクはあきれたように言う。
「おめーよー、ガンマがリヒターと一緒に一夜を過ごしたのが気に食わないんだろ?」
「そ、そう……だけどっ! だから?」
「逆ギレかよ……ったく。いいか、リヒターは男に興味ねーっつの。ガンマは単にあの日、調査に付き合わされただけさ」
マリクはアカシアの店で行われた飲み会で、ガンマからその話を聞いてるのだ。
「浮気してねーから安心しろって」
「べ、べつにぃ? つきあってないから、浮気も何もないっすけどぉ?」
「ヤキモチだろ?」
「ち、ち、ちがいますぅう!」
ヤキモチのようだ。
多分自分より綺麗(だと思っている)で、年上のお姉さんと、一晩過ごしたガンマが……。
ちょっと許せないみたいだ。
自分のこと気があるそぶりをみせておいてと。
「メイベルよぉ。おれら軍人は、いつ死ぬかわからねえんだよ?」
「……急になに?」
拗ねた調子でメイベルが言う。
マリクは苦笑したあと、真面目なトーンで返した。
「今日おまえさんが死ぬかもしれない。ガンマが死ぬかも知れない。そんな危ない場所におれらは立っている」
「…………」
「永久に言うタイミングを逃すってこともあり得る。後悔は先に立たないぜ、メイベル?」
少し考えて……。
メイベルは、小さく息をつく。
「隊長の言うとおりだ」
「だろ?」
「うん……わかった! 告る! 終わったら!」
「それでいい。さ、任務に集中すんぞ」
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