130.朝礼
リヒター隊長から通信用の新しい魔道具をもらった後。
俺たち三人は、騎士団の詰め所へと向かった。
俺たちの所属する、胡桃隊。
そのメンバーたちが既に出勤していた。
「「あ……」」
メイベルも、いた。普段は軍服を少し着崩し、胸元を開けている。
しかし今日はきっちり首元までボタンを締めていた。
また、トレードマークの丸帽子ではなく、軍帽をかぶっている。
まあ今日は式典だからな。おしゃれはいつもより控えめなのだろう。
でも……似合ってるな。
「な、なにさ……?」
「いや……似合ってるなって、そういうかっちりした服装も」
「ふ、ふぅん……」
メイベルが唇をとがらせてそっぽを向く。
俺の目には、彼女がまんざらでもないように感じてる、と見えた。
「ガンマもその……おしゃれじゃん?」
「そうか?」
俺は普段とあまり格好が変わっていない。
着崩して着ないからな、普段。
だがいつもと違って軍帽をかぶっている。それだけ。
「か、かっこいいじゃん……」
「そ、そう……」
他人から言われても、特段どうも思わない。
けどメイベルからほめられると……なんだか、特別、照れくさかった。
「青春してるなぁ……おまえら!」
サングラスをかけたリス、マリク隊長が、ニヤニヤしながら俺たちを見てくる。
くっ……なんだその顔。なんだかむかつくぞ……。
「さて、青春もいいが……仕事も大事だ。ブリーフィングするぞ、おまえら」