125.裏切りの騎士
いよいよ、生誕祭が始まろうとしている一方。
神聖皇国の聖騎士リューウェンは、上司と会話していた。
「は……!? ど、どういうこと……でござるか……?」
彼がいるのは、帝国から与えられてるアパートメントの一室。
目の前には水晶玉があり、それをとおして、上司からの信じられない命令を聞いた。
「帝国を……裏切れ……? ですって……」
上司からの命令は、生誕祭で、帝国側に加勢するなということだった。
「加勢するなって……何か起きるのでござるか!?」
水晶玉からの返答は、簡潔なものだった。
『君は知らなくて良い』
……その一点張りだ。
何かが起きる、それは確定しているのに、皇国はそれに対して手を出すなという。
「そんな……出来るわけないでござる! 危機を知りながら手を出さないなんて!」
帝国は確かに、自分たちの祖国とは違う。
しかし、そこでは知り合った友がいる。
友の居る国に危機が訪れているというのに、黙ってみてなどいられない!
「とにかく、拙僧は命令には従いません!」
だが……
上司からの【提案】は、飲まざるを得ないものだった。
「…………」
なんと、卑劣だろうか。上司からの命令に、リューウェンは従わないといけない。
そうしないと、自分以外のものに迷惑がかかる。
「……復唱します。生誕祭で、我ら聖騎士は、一切帝国に加勢しない、でござる」
命令は以上といって、通信がキレる。
……リューウェンは、血が出るほど拳を強く握りしめるのだった。
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