123.一方女子会
ガンマが大人達と飲み会しているのと、同時期。
同じ部隊の魔法使いメイベルもまた、仲間と飲んでいた。といっても、軍医のリフィルとだが。
大衆食堂にて。
「ひどくないですか、せんせー!」
べろんべろんによってるメイベル。
すでに何杯も飲んだ……わけでなく、1杯目でこの泥酔具合だ。
「なーーーーに他の女のとこで、一泊してるんじゃーい! こっちがこーんなにアピールしまくってるのにー! もー!」
メイベルの不満。それは簡単に言うならヤキモチだ。
自分はガンマのことが好きでたまらないのに、他の女の子と一夜を共にしたのが、気に食わなかった。
「もっとあたしを見てよ! 興味もってよー! もー!」
はぁ……とメイベルがテーブルに頬を載せる。
リフィルは愚痴られても、嫌な顔一つせずに話を聞いてくれていた。
リフィルは「まあ……」と一言。
「あれね。もうね、早めに告っちゃいなさい」
リフィル視点では、もう完全にガンマのことを好きで好きでたまらないメイベル。
一方、ガンマもまたメイベルを憎からず思っている。
という、すでに両思い状態。なにをうだうだやってるのだ、と思いすらした。
「それができればくろうしないよぉ~」
急にヘタレになるメイベルに、リフィルは頭をなでながら言う。
「お姉さんが保証するわ。ガンマちゃん、告ればいける。押せ押せよ」
「うー……でもぉ~……だめだったら、気まずいじゃんかー……」
わからなくもない。なにせ同じ職場の同僚なのだ。
これでもし、失敗したら、もうずっと気まずい状態が続いていくことになる。
「…………」
リフィルは切なそうに目を細めた。胸のなかの、ガンマへの思いは……そっとしまい込む。
「いつまでウダウダ言ってるの、メイベル・アッカーマンS級隊員」
珍しく、厳しめな表情のリフィルに、思わずメイベルは目を丸くする。
「私たち軍人は、いつ死ぬかわからない。あなた、自分が今死んだとして、後悔せずにあの世にいける?」




