117.誤解
俺の所属する、胡桃隊の詰め所にて。
同僚であり、思い人であるメイベルが……なんか、爆弾を投下した。
「一夜をともにしたって言うのは、本当かい兄弟!」
同僚のオスカーが好奇心に満ちた眼で俺を見てきた。
一方でメイベルは唇をとがらせて、こっちを非難するみたいな目を向けてくる。いやいや……。
「違う」
「うそつき! ガンマのうそつきー!」
ぷくーっとタコみたいに頬を膨らませるメイベル。
なんなんだ。こいつ、何を怒ってるんだ……?
「ガンマが家に帰ってきてないのは、知ってるんだからね!」
「どうして……?」
にゅっ、とメイベルの足下から、俺の妹……フェリサが顔を出す。
小柄で、眠そうな目つき。
「…………」てーん!
「おまえか」
フェリサと俺は同じ部屋で暮らしている。……そもそも、フェリサには自分の部屋が用意されているのだが。
この子はいつも俺の部屋に潜り込んできては、一緒に寝たいとだだをこねるのだ。
「ネタは挙がってるんだガンマ! 君は……昨日帰ってきてない!」
「…………」びしっ。
フェリサとメイベルが俺に指を指す。
「どうなのだいガンマ!? え? リヒター隊長とワンナイトあったのかい!?」
意味がわからんが……。
「まあ、一夜はともにしたが」
「「やっぱりぃいいいいいいいいいい!」」「…………」むきー!
三人ともなんだか、怒ったような表情だ。いや、なんでそんな顔する……?
単にあの人のもとで、一晩中、新しい技術の習得に努めていただけなのだが……。
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