108.闘気《オーラ》
【★読者の皆様へ】
書籍化に伴い、タイトルが変更になります。
旧)超遠距離から一瞬で敵を狙撃してたのに、何もしてないとS級パーティを追放された最強の弓使い~ホワイトな帝国の軍部で俺を評価してくれる人達と働いてるので、今更泣きつかれても遅いです〜
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新)S級パーティーから追放された狩人、実は世界最強 ~射程9999の男、帝国の狙撃手として無双する~
リューウェンとの模擬戦。やつの体から立ち上る、正体不明の力の波動。
……そういや、山猫聖女のミーシャからも同じ力を一瞬だけ、感じたことがあった。
「闘気、というものをご存じか?」
「……いや」
背筋に汗が流れる。それほどまでに、あれはやばいと、俺の狩人としての勘がささやいてる。
体から湧き上がる、蒸気のようなもの。
多分あれが実態ではない。
俺には見えないが、彼の放つ闘気とやらが、空気をゆらしてて、それを俺が目で捉えられてるのだ。
「自然界にあふれるエネルギーを、己にとりこむことで、爆発的なエネルギーに変える技術でござる」
「…………」
正直言って、やつの言ってることが一つも理解できない。
彼もまた承知の上だろう。
すぅ……と足を軽く上げて、振り下ろす。
ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
「……っ」
ほんとに、軽く足を振り下ろしただけ。それで、隕石が落下したような、あの威力。
これが……闘気とかいう、謎の力の正体か……。
身体強化のたぐいだろう。それを使って、肉弾戦を挑まれたら……さすがにやばい。
危ないと危険信号が脳裏に鳴り響いてる。だというのに……俺は冷静だった。
「……こいよ」
「ふっ、逃げないでござるな」
「当然だ。こい」
「では……ぬぅうううううううううううううううう!」
闘気とやらで体を強化したリューウェンが、俺に向かってまっすぐ突っ込んでくる。
フェイントなしの一直線な動き。
俺は……何もしなかった。
武器を下げて、やつの拳を受け入れるように、両手を広げる。
風が……体をすり抜けていく。
やつの力の波動を……受け止めるのではなく、受け流すように、力を抜いて待つ。
やつの拳が俺の肌、ギリギリにまで肉薄する。
その瞬間を狙って俺は体をねじった。
「なっ!?」
驚くリューウェンをよそに、俺は倒れながら、ヘッドショット。
ずどん! ……という音とともに、リューウェンがその場に倒れる。
やつの攻撃をかわし、俺は後頭部にゴム矢を見事命中させたのだった。




