103.聖騎士
生誕祭にそなえ、俺たち帝国軍は、外部から来た騎士たちと合同訓練をしている。
神聖皇国のメンバー達は、みな白金の鎧に身を包んでいた。
特にそんななかでも、リューウェンはひときわ体が大きく目立っている。
「よぉ、ガンマ。聖騎士は初めて見るか?」
「マリク隊長……聖騎士って?」
「神聖皇国の騎士のことだ。聖女を守る役割を持っている」
「聖女……」
そういやあの山猫のミーシャも聖女とかいっていたな。
どんな奴らなんだろうか。
リスボディのマリク隊長が、俺の肩の上に乗っかる。
「神聖皇国はよ、聖女っつー特別な女が生まれやすいんだ。彼女たちは聖なる魔力をその身に宿している。が、その魔力は攻撃魔法に転じることが一切できない。もちろん身を守ることもな」
「なるほど……それで聖騎士が守ってるんですね」
「ああ。特にあのでけえはげ頭をふくめた13人の強い聖騎士を、【13使徒】っていうらしい」
「13使徒……」
リューウェンの肉体は巨岩を思わせるほどゴツく、力強い。
あんな男と同格のやつが残り12人も居るのか。
……いや、だとしても。
「たった13人で国を守れるんですかね」
「ほぅ……その心は?」
「俺、こっちに来て考えが変わりました。結局数は強いんだって」
俺はこないだ、故郷である人外魔境にいってきた。
その間にも帝都は魔蟲による被害を受けていたらしい。
けれどリヒター隊長が作った銃と、帝国軍人達の連携の取れた動きによって、敵を排除できたそうだ。
俺たち魔蟲族と戦うのがメインの主力部隊がいなくても、数の力で、連携して戦って、勝てる。
それが組織の力なんだって、痛感させられた。
「まあガンマの言いたいことはわかる。だがあいつらも相当鍛えてるぜ?」
「その通りでござるよ」
リューウェンが近づいてくる。
その手には棍棒が握られていた。
にっ、とリューウェンが笑う。
「ガンマ殿。あなたは強いと隊長殿からうかがった。そこでお願いがあるでござる」
「お願い?」
「拙僧と、手合わせ願いたい」