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101.山猫の聖女



 俺たちは軍の施設に向かい道すがら、神聖皇国からきた客人と会話する。


「改めて、この娘はミーシャ。我ら神聖皇国の聖女でござる」

「ミーシャ……せ、聖女?」


 禿頭の大男、リューウェン。彼は皇国からの聖騎士だ。

 そして……そんな彼に肩車してもらっている、赤毛のちび女が、ミーシャ。


「んだよ? あたいになんか文句あんの?」

「いや……」


 まさかこんな山猫みたいな女が聖女とは……。

 まあもっとも、聖女っていわれてもよくわからないのだが。


「聖女とは、聖なる魔力をうちに秘めた清らかな乙女のことでござる」

「聖なる魔力、か……」


 前に学園で習ったことがある。人間は魔法を使う際、体内の魔力を使う。

 だが人間の体質が千差万別のように、魔力にも使う人間に応じて質が異なるという。


 性質が使う魔法に近いほど、より少ない魔力で、より強力な魔法を使える。

 たとえば錬金の魔法が得意なメイベルは、土の性質の魔力を持っている。


 だから少ない魔力で、大量のゴーレムを生み出すことが可能なのだ。


「聖なる魔力ってことは、回復魔法か?」

「然り。この子も粗野な言動はするが、根は優しい子なのだ。どうか仲良くしてやってくれ」


 相手は客人だし、リューウェンは少なくとも悪いやつじゃないので、ミーシャとも仲良くしたい。

 だが……。


「…………」じー。


 フェリサがミーシャをじっと見つめる。

 二人が目が合う。


 ミーシャは勝ち誇ったように鼻を鳴らす。

 フェリサはムッと顔をしかめると、俺の腕を引っ張る。


「え、なに?」

「…………!」くわ!


 ミーシャとリューウェンを指さす我が妹は何をご所望か。

 おそらくは、肩車してほしいのだろう。張り合ってるのだ。


「はいはいわかったよ」

「…………」んふー!


 俺がしゃがみ込むと、フェリサが俺の肩に乗っかる。

 立ち上がると、二人の目線が合う。


 ぷいっ、と二人が目をそらす。


「ははは! さっそく友達ができたでござるなぁ、ミーシャ!」

「どこが!」「…………」しゃー!


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