表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は王妃を追及したい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

518/544

ローゼリアの主張

 かつて、王妃づきだった侍女らしく、ローゼリアは背筋を伸ばして発言を続けた。


「私は、私の意志により侯爵令嬢を襲いました。すべては私ひとりで計画し、私ひとりで実行いたしました……王妃様は関係ありません」

「それはありえない」


 宰相閣下は彼女の言葉を真向から否定する。


「貴様がクリスティーヌ殿下とリリアーナ嬢に手をかけるには、いくつもの条件をクリアしなければならない」


 宰相閣下は、ゆっくりと一本ずつ指をたて始めた。


「まず王妃づきの侍女として雇われること、それが最低条件だな。そして、魔力式給湯器から火が出るよう細工するため、王宮全エリアに出入りする権限を得る」

「出世の努力を……しただけです」

「離宮の火事と橋の爆破には特殊な薬剤が使われていた。危険物の入手ルートも必要だな」


 離宮をあっという間に火の海にし、頑丈な橋を壊したのだ。

 真っ当な手段で手に入れた燃料じゃこうはならない。

 そして、と宰相閣下はまた指を立てる。


「留学生の脅迫手段も必要だな」

「なんだそれは?」


 突然降ってわいた言葉に、ランス伯が食いつく。

 宰相閣下は息をついて彼に目を向けた。


「さきほど、リリアーナ嬢の発言にあったでしょう。キラウェアからの留学生の荷物から火が出たようだと。ローゼリアは卑劣にも留学生を脅し、彼女の荷物の中に発火物を仕込んだのですよ」


 すっとフランが横から書類を一枚出した。


「彼女からはすでに、ローゼリアの罠にかけられ脅されたと証言を得ています。留学生の名誉を守るため、ここでは細かい脅迫内容については、伏せさせていただきます」


 証拠として受領するためだろう。

 この書類も文官のもとへと手から手へと運ばれていった。

 火の気のないリビングで、どうしていきなり火柱があがったのか不思議だった。しかし、そういうからくりがあったのなら納得がいく。


「ただ、留学生を陥れる罠はこの王宮で行われていました。ここでそれなりに人を動かす権限がなければ、実行できません」


 人を使う権限を持つ者。

 それは侍女ではない。王妃だ。


「そして、これが一番重要なのですが……王家の抜け道を知っていること」

「なぜそんなことが……いや、クリスティーヌ殿下が襲われたのは、抜け道の中だったか」

「まずローゼリアは留学生の荷物に発火物を忍ばせました。その後、抜け道を通って離宮に侵入し、侍女のタニアを殴打。留学生の荷物から出火し、殿下たちが避難し始めたのを見計らって橋を爆破しました。そして抜け道に戻り、殿下たちが避難してきたところを、ナイフで襲った。起きた事象をもとに組み立てた順序ですが、おおむね誤りはないでしょう」

「王家の抜け道を知っていなければ、実行不可能だな」

「抜け道の秘密は、王族と彼らの安全を守る近衛の一部しか知りません。だとすれば……」


 観客の視線が王妃に集まる。

 王妃づきの侍女だったローゼリアが接触できる王族は、王妃ただひとりだ。彼女以外、ローゼリアに手を貸せた者はいない、ってことなんだろう。

 あれ? それでいいんだっけ?

 ひっかかりを感じて、私は宰相閣下を見た。

 彼は薄く笑っている。


「お、お待ちください!」


 ローゼリアが声をあげた。


「違います! 王妃様は無関係! 無関係なのです!!!」


「無理ゲー転生王女」

公式ページ公開&予約始まりました!

AmazonとBookWalkerにて予約可能です。


発売は2024年11月29日!

詳しくは活動報告をチェック!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紙書籍版はこちら
yc7fazc3ex416ry2nbwhndnkqxw_180l_ix_rs_gcuw.png
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ