こいつ……動くぞ?!
このダンジョンは聖女のためだけに存在するのではない。白銀の鎧を駆る勇士候補の訓練場でもある。そう説明してみたけど、ヴァンたちはいまいちピンときてないようだった。
「三人がどれだけ騎士として訓練してても、突然未知の武装だらけの巨大な兵器に乗せられたら、どうしていいかわからなくて困るよね?」
ファンタジー世界で育ったセシリアが突然巨大空中要塞『乙女の心臓』を渡されたところで、持て余すのと同じだ。そんな離れ業ができるのは宇宙で生まれ育ったニュータイプか、最強騎士ハルバード侯爵くらいのものである。
「それに、訓練場の問題だってあるし」
「あー……白銀の鎧って、確か教会の塔よりデカいんだったか」
「そんなのが、王都の近くを歩いていたら大騒ぎになるね……」
実際に学園の周りを歩いているところを想像したのか、ケヴィンが苦笑した。
ゲーム内の描写から推測した感じだと、白銀の鎧はどう少なく見積もっても二十メートル以上はある。そんな巨大な鎧が、一発で山に穴をあけるレベルの高火力兵器を振り回してたら、悪しき邪竜やモンスターと戦う前に国土が焼け野原になってしまう。
このダンジョンは、周りに被害を出さずにスキルを学ばせる狙いもあるのだ。
「何も知らない十四歳の息子をいきなり汎用人型決戦兵器に乗せちゃダメって話だね」
「はあ?」
「いや、こっちの話」
女神がどこかの指令よりは訓練の大事さを理解してくれていてよかった。いやそもそも、こんなわけのわからない運命に巻き込むなって話だけど。
「ということは、白銀の鎧に乗れる可能性もあるってことか?」
巨大ロボに乗れると聞いて顔を輝かせたクリスを、ヴァンが笑った。
「まさか! そんな神話みたいなことが……」
しかしヴァンの軽口は途中で止まった。私もセシリアも彼らにつっこまなかったからだ。
「え……? マジで……?」
「この騒ぎの元凶を見てみなよ」
私はニヤニヤと笑っているユラを指す。彼の額には、相変わらず禍々しいツノが生えている。それは明らかな邪神の象徴だった。
「えっ……まさか、本当に厄災の神が復活すんの……? いやだってアレは神話の話で……でも、こいつが邪神の化身だとすると……えー、マジかよ!」
「ちなみに、建国神話の内容はほぼ事実だから」
「嘘だろって言いたいのに、否定できねええ……」
ヴァンはそのまま頭を抱えてしまった。隣に立っているケヴィンの顔もひきつっている。
ふたりは当事者だもんねー。
巨大ロボに乗れますと言われて素直に喜べるわけがない。
「ここから脱出したら近いうちに乗ることになると思うから、兵装スキルは重点的に練習しておいたほうがいいんじゃない」
「了解した。ふふ、白銀の鎧に乗るなんて、楽しそうじゃないか!」
クリスだけがひとりウキウキである。学年演劇のころから、白銀の鎧がお気に入りだったもんね。
「ダンジョンの外には操縦シミュレーターもあったはずだから、あとで使ってみようか」
「いいな、それ!」
それを聞いたユラがにやにや笑う。
「いや~いい約束だね。ここを脱出したら何かする! 物語みたいな誓いだよ」
「うっさい、死亡フラグみたいな言い方すんな!」
だからいちいち人の神経を逆なでするんじゃない!
なんとか間に合いました。
次の更新は2/16です!
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