進捗どうですか?
「というわけで、こちらをお借りしましたー!」
数日後、家庭教師の名目でハルバード侯爵邸を訪れたフランに、私はかんざしを見せびらかした。
フランが補佐官から若い男性家庭教師にジョブチェンジしたせいで、勉強部屋には監視役が同席するようになったけど、会話のノリは変わらない。どうせその役を担うのは、事情をだいたい理解しているフィーアとジェイドだからだ。
「モーニングスター家の紋章入りのかんざしか。ずいぶんなものを渡してきたな……」
紋章いりの装身具は権威の証だ。
それを身に着けることを許された、ということは、それほど認められたことを意味する。
非公式ながら、私もケヴィンの婚約者候補に仲間入りである。
「いきなり現れていきなり認められた第四のご令嬢! これは絶対、一番に狙われるわね!」
「……」
フランは額に手をあてて、むっつりと黙っている。
「フラン?」
「頭痛が……」
「何よー、自分だって賛成してたじゃない」
「せいぜい、婚約者に声をかけてきた厄介な女程度で済むと思ったんだ。まさか、モーニングスター侯爵本人が認めるとは思わない」
何故睨まれるのか。
頑張ったはずなのに、理不尽だ。
「フランのほうの首尾はどう? 調査は進んでる?」
「オルソン家とリッキネン家の問題についてはおおむね把握した。だが、黒幕の正体まではつかめていない」
それでも問題自体はもうわかってるんだ。
相変わらずフランは仕事が早い。
「今持っている証拠だけでも、令嬢たちの排除は可能だが……黒幕を放置したままでは、また侯爵家が狙われるだろう」
フランは私をちらりと見る。
「巻き込まれた令嬢も汚名をかぶることになる」
「それは絶対避けて! お願い」
現時点で、彼女たちは婚約を強要されている被害者だ。
未来で殺人を犯す可能性はあるけど、まだ何の罪も犯していない。
貴族社会における令嬢の立場は厳しい。
少しでもスキャンダルが起きれば、あっという間に転落人生へと真っ逆さまだ。
大人に脅迫されただけで失脚とか、かわいそうすぎる。
「黒幕確保にあわせて、救済方法を考えてみる。少し時間をくれ」
「ありがとう! ……あれ? そういえばフローラの問題は?」
フランが突き止めたのは、姉系令嬢エヴァ・オルソンと強気令嬢ライラ・リッキネンの問題だけだ。妹系令嬢フローラ・ベイルマンの名前はまだ上がってない。
「実は、ベイルマン家からは何も出てきていない」
「フローラ本人も、まだ11歳の子供だしねえ」
しかし、女神にもらった攻略本には『3人が全員殺し合った』とある。フローラが犯行に及んだ理由が、必ずあるはずだ。
「そういえば……ちょっと気になることがあったんだよね」
私はお茶会で感じた違和感をフランに報告してみた。それを聞いたフランは、頷く。
「確かにその方向では考えてなかったな。調べてみる」
「よろしく! でも、黒幕の反撃には気をつけてね」
「お前も、これ以上余計な問題を起こすなよ」
「失礼ね~。私だってこれでも注意して振舞ってるんだから。ケヴィンの問題以上のことは起きないわよ」
みなさんおわかりいただけただろうか。
上記の一言が、トラブルを呼び込むお約束台詞、俗に言う『死亡フラグ』である。
こんなに派手なことをしていて、新しい問題が発生しないわけがなかった。
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