ぼっち令嬢再び
王都で生活を始めて一か月後、私はマリィお姉さまと一緒に馬車に揺られていた。
今日はモーニングスター侯爵主催のお茶会だ。侯爵様本人は当然のこと、ケヴィンも出席することが決まっている。
待ちに待った接触イベントだというのに、私は不安な気持ちでいっぱいだった。
「だ……大丈夫かなあ」
「大丈夫よ、リリィちゃんはかわいいから。今まで出席したお茶会や園遊会でも、好意的に受け入れられていたでしょ?」
「宰相派の大人には気に入ってもらえましたけどね……」
子供ながらに領主代理の大役をつとめた、という実績がウケたらしい。お茶会の席で謙虚にふるまうと、みんな褒めてくれたし可愛がってくれた。
しかし、問題は同世代の女の子たちである。
「女子全員から遠巻きにされてるんですがそれは」
大人たちに挨拶した後、交流しようと向かっていくと、みんなすーっと離れていくのだ。教育の行き届いたお嬢様だから、あからさまな意地悪とかはないけど、とにかく距離が遠い。
王妃様に教育された根性悪令嬢にいくら嫌われても気にならないけど、普通のお嬢様にまで避けられるのはしんどい。
まあねえ、変な噂てんこもりな上、王妃様に目をつけられてる要注意人物だもんね。
下手に接触して、変な噂が立ったら嫌だよね。
ふふ……つらくなんかないさ……ちゃんと友達はいるもんね……来年の春になったらクリスとヴァンに遊んでもらうんだ……。
「多分そんな理由じゃないと思うわよ」
顔をあげると、マリィお姉さまが苦笑していた。
「王都暮らしの貴族の子は、すごく警戒心が強いのよ。みんな、多かれ少なかれ王妃様のお茶会メンバーと関わりがあるから」
「ああ……あのメンバーと『仲良く』するのって大変ですからね」
こと悪知恵において彼女たちほど頭の回る者はいない。会話をしたが最後、どの発言がどう曲解されて、何をされるかわかったもんじゃない。
警戒し、問題を避けるのは、大事な処世術だ。
「あの子たちは人との交流が少し怖くなってるだけよ。誠実にふるまっていれば、わかってくれるわ」
「そうでしょうか……」
「そうなの! はい、背筋を伸ばして顔をあげる! 今日はあなたのお目当てのケヴィンが出席するパーティーよ。暗い顔をしてちゃ、何も始まらないわ」
マリィお姉さまはにっこり笑う。
つられて、私の口元も緩む。
「ケヴィン様に、かっこ悪いところを見せられませんしね」
「男をオトす最大の武器は、とびきりの笑顔よ!」
茶化されて、とうとう笑い出してしまった。
私にはやらなくちゃいけないことがある。とりあえず、女の子同士の交流は二の次だ。
世界をどうにかしないと、人付き合いもしてられないからね!
よし、がんばろう!!
しかし、お茶会早々やっぱり女子に避けられてしまうのだった。
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