ショートスオーリー 帰りが遅いときのおかず
拓二は現役時代会社が定時の五時半で終わっても
帰宅するのは十一時半頃だった。
早く仕事が終わるといつもパチンコ屋に
直行していたからだ。
でも一万円ほど負けた日はその日は
付きがなくてさっさと帰ることにしていた。
まぁそんな日が多いわけだ。
たまに勝つ日があると必ず自宅に電話をしていた。
トロ箱が十杯十五杯と積み五.六万円は勝つ日があった。
丁度その日はバカ当たりでジャンジャン
トロ箱が溜まりこれじゃ帰りが遅くなる。
止めるに止められない。
九時が過ぎ九時半が過ぎても
大当たりの連続でトロ箱も二十杯くらいになった。
トロ箱一杯が約五,六千円だから
十万円は優に儲けている。
それも元では三千円だ。
これだからパチンコは止められない。
今日は閉店の十一時まで粘るつもりだ。
だから帰宅するのは十一時半くらいになる。
そこでパチンコ屋の外に出て
妻に電話を入れた。
「今日の夕飯はチンして食べられるものでいいから」
と
すると「それは困るわ」
って妻が言う。
ハテ!!!
合点がいかない。
まぁいいかとそのままパチンコを続けた。
十時半にパチンコ屋が閉店して
十一時半に帰宅してみると食卓の上にだされたのが刺身だった。
道理で刺身はチン出来んはなと
ナットク!!!!