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メデューサの恋  作者: ともるん
2/9

ペルゼウス

 水滴のような音がする。

 ここはどこだろう。

 俺は……。


 目を開けても、真っ暗だった。何も見えない。

 そばでシュウシュウいう音がした。

 手を伸ばすと、何か柔らかいものに触れた。


「きゃっ!」

 女性の声にハッとした。しまった、今、俺が触ったのって……。


「ごめん、何も見えなくて」

「いいえ、大丈夫。目が覚めたのね。良かった」


 俺は……助かったのか。そして、この人が恩人?


「ここは洞窟なの。あなたを襲った人たちが探しにくるかもしれないから、身を潜めてるの。今は夜だから明かりをつけると目立ってしまう」


 そうだった。あのとき俺は襲われて……。


「傷はもう大丈夫よ。明朝旅立つといいわ」


 あれ、そういえば痛みがない。おかしいな、深手を負ったはずなのに。


「薬が効いてるわ。痛みもないはずよ」

「そうなんだ。ありがとう。俺はペルゼウス。君の名前は?」

「私……私の名前は………」

「?」

「だめよ、言えないわシアナ。この名前も知られてるかも」

「他に誰かいるの? シアナって?」

「あっ、ううん。ひとりごと。ずっと一人きりだったから変な癖がついちゃって」

「……」

「そうだ、これを飲んで。よく眠れるわ。朝までぐっすりよ」


 彼女は俺に液体の入ったカップを手渡した。驚くほど冷たい手だった。

 カップからは眠り草の匂いがした。

 その瞬間、俺は、気を失う前に見たものを思い出した。まさか……。


「どう? 全部飲めた?」

「う、うん」

 俺は飲むフリをした。

 そして、しばらくして「眠い」と嘘をついて横になった。


「眠ったようね。シアナ、これでよかったのかしら」

 彼女はひそひそ誰かとしゃべっていた。シアナという人物の声は聞き取ることができなかった。その代わり、シュウシュウという音が聞こえた。


「朝になって彼が出ていくまで、私はどこにいればいいかしら」

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