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第一章
はじめてです!
暖かい目で見守ってください!
少女は高い塔で暮らしていた。塔には本があった。塔の隅々まで本で埋められていて、少女が5歩しか歩けないほとの空間しかなかった。少女は睡眠と食事以外の時間を読書に費やした。読書と言っても、彼女が読んでいるのはただの「記録」。こんなにも本があるのに物語の一つもない。少女は感情というものを知らずに育った。いや、識らないのだ。なぜ、食事を持ってくる人が顔を歪めるのか。「涙」というものを流すのか、声を上げて「笑う」のか。少女は識らない。少女にとってはこの暗く、狭い塔が全てである。ここが少女の世界の全てだった。
まだまだ続きます!