第00節 背信の徒
初めまして、榛と申します。
この時期、冷房の効いた室内で熱い無糖珈琲を嗜みながら愛煙のPEACEを燻らせつつ執筆を行う多忙人。
その為、更新は不定期になりますが、ご了承下さい……。
若干のエロチック要素も加えていきますが、行為には至らないのでb
――そもそもに於いて、魔王が絶対的に悪である等と決め付けたのは他ならない人間である。
魔を従え、人々を脅かす畏怖の象徴。
邪悪、鬼畜、外道の権化。
〝魔〟を従えるだけでも十分恐怖の対象と成り得る~等と考える時点で、いかに人類の想像が陳腐で、固定観念に縛られているのかがよく分かる。
勧善懲悪に則るのは構わないだろうが、誰が、何時、勇者を正義であり、善の者である等と決めたのだろうか。
しかし、その予想を裏切るようなダークヒーローは今まで召喚された試しがない。
そこについての答えは単純明快で、神様が選別をしているからである。
神様が『勇者向き』か『そうでないか』を手前勝手に判別し、有無も言わさず死が絡んだ瞬間に異世界へと送り込む。
横暴極まりないとはこの事か。
中には与えられた条件を達成出来ず、異世界で命を落とす者、あるいは異世界で大切な人が出来、其方に永住を決めた者と召喚後の人生は様々であった。
では、此処までの事を前提に、とある青年に視野を当ててみる。
上下黒いジャージに黒い縁の眼鏡をかけ、煙草を咥えながらに持参のノートPCを操作する――極めて独特な青年、いいや、元勇者の青年の話だ。