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囚われの王子様  作者: 君野自由
2/4

story -2-1 日常

昨日は遅くまでパソコンに向かっていた。


「あいたたた・・・」


パキパキと軋む腰を抑えながら起き上がる。買った時は嬉しくてしょうがなかったベッドのスプリングが、今は少し邪魔に感じる。

隣でひっくり返って寝ていた白丸は、私のババくさい声で一気に覚醒した様だった。


すぐに抱っこしてとせがむ様に上手に後ろ足で立っている。


「ママはトイレに行くの」


白丸の頭を取り敢えず撫でてから少し高めのベッドを降りた。私の動きを見ながら犬用の階段をとてとて降りてくる様子も可愛い。

寝室を出て向かいにあるトイレには行かずに、そのまま廊下の先にあるリビングに向かった。起きてみると別段トイレに行かなくてもいい気がしたからだ。


リビングのすりガラスのドア越しに明るい太陽の光が見える。ドアを押し開けると、足元をすっと毛むくじゃらが先に入って行くのを感じた。白丸に続いてリビングに入ると、カーテンの隙間から光が差し込んでいた。

一気に、晴れの日特有のワクワクした気分になるが、それを抑えてまずはキッチンにある電気ポットのスイッチを入れた。


そして、ベランダに繋がる大きな窓のカーテンを勢いよく開けると、太陽がおはようと暖かく迎えてくれた。

早る気持ちのまま窓も開けると、春の心地よい風と鳥の声が聞こえる。遠くに子供の声と、「待ちなさい」とお母さんの焦ったような声も聞こえる。さすが住宅街だと笑ってしまった。



テレビを点けると時刻は朝8時を回ろうとしていた。

テーブルの上には飲みかけの紅茶の入ったマグカップとパソコンが並んでいた。

白丸はソファの何時もの場所に突っ伏してチラチラとこちらを見ている。


こんなにいい天気で早起き出来たのだから、今日は良い日になる気がする。




適当にご飯を食べ、急いでお風呂に入って身支度を整えるのを、たったの20分という女性らしからぬスピードで済ませた。

なぜかというとペキニーズは暑がりなので、朝か夕方の涼しい時間帯にしか散歩に行けないのだ。

いつもは妥協して夕方にばかり散歩に行くけれど、こんなにも気持ちの良い朝を白丸にも味合わせてあげたい。


「白丸」


名前を呼ぶと千切れんばかりに尻尾を振り、興奮しまくった白丸が飛びついて来た。

おそらく私の手にある首輪と紐を見ただけで、これから起こる事柄を理解している様だ。ハチャメチャに動き回る白丸をなだめながら準備をして、ウォーキング用のシューズを履く。

白丸は外では絶対にトイレが出来ない。この2年間一度もしたことは無いが、飼い主の義務として小さめの散歩用品が詰まったバッグを肩に掛け、家を出た。




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