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現実逃避していたら異世界に  作者: 弘崎宏
始まりは現実逃避
5/19

第七騎士団

この世界に来て何だかんだ適応しつつある。

普通なら混乱して何がなんだかわからなくて早く元いた世界に戻りたいと思うことがセオリーなんだとは思うが・・・


たいして未練もない世界に戻ってもな・・・

死と隣り合わせの世界だとは理解していても

何一つあの世界には何の繋がりもない

独りなのだから

それに無職・・・


「リサク、手際が良いね?」


集めた書類を小分けに分類

何気にこの作業やってきていたからな

面倒にも程がある仕事だった

ミスしたら嫌味な上司にチクチク小言言われて


「補佐って雑用なのな」


「今のところはね」


クレイの執務室にて資料の分類、まとめ、その他もろもろ。

騎士団長様の部屋は広いな。

ある意味社長室のような感じだ。


「クレイ様、このような者をおくのは何故ですか?渡人とはいえ、クレイ様に無礼な態度を取り即刻切り捨てるべきでは」


そりゃあ、見ず知らずの奴がいきなり騎士団長様の補佐官なんて気に入らないだろうけど

クレイに無礼な態度しているつもりはないけどな


灰色の髪の美少年

クレイの騎士団の副団長

ズヴァン・ケルティア


高慢そうな感じでいかにも貴族のお坊ちゃんみたいな感じだな。


「俺が気に入らないならクレイに文句言えばいい。それで俺を追い出せば済むことだろ」


追い出されたら、行く宛ないけどな

なんとかなりそうにもないが

村に戻るのも気が引ける

言って軽く後悔はするものの

クレイが追い出すようなことはしないだろうな


「リサクを追い出したら騎士団会議ものになるよ」


「騎士団会議?何でまた会議に?」


「騎士団長の集会のようなものさ。既に騎士団内で決めたことだからね。リサクを僕の補佐官に任命したことは」


「それならば、ルルビィ様でも良かったのではないかと」


「そうだね、でもルルビィの場合、リサクを他の隊に押し付けそうだからね。」


ルルビィは確かに気分屋な面がある

美しい女性ではあるけど性格が残念


「それにもう、リサクは僕を含め騎士団長達に気に入られているからね」


なんだそれ?

気に入られた覚えはない

特別、仲良くもない

何でそうなった?

それとなく会話しただけの仲だぞ?

名前すら覚えてない騎士団長様もいるってのに



「ですが、このような者をいつまでも居させる訳にはいきません。」


ごもっともだな

生きる上ではこの世界でも金が必要

こんな身元も知れない渡人に経費をかけている場合じゃない

それこそ邪魔でしかない


「用が済めば出ていくさ。いつまでも厄介者になる気はないし、クレイの協力が何であれ其れを済ませば消えてやるよ。」


それまで色々な知識が必要になるだろうな

厄介者だとは思っていたし

何不自由なく過ごせるのはクレイや、騎士団長様達、お姫様の配慮のお陰だ。


「それは出来ない。リサクは神獣と契約したからね」


「神獣っ!?あり得ない・・・」


「その強大な力を持つ者をみすみす手放すことは出来ないからね」


「まあ、そうなりますよね・・・」


「神獣はこの世界の理を覆す力を持っていると聞いている。君はもう少し理解するべきだよ」


「フェンがそんな凄いワンコだとは」


もふもふしたいな

フェンは俺の癒しだ


「何用だ主」


もふもふしたい一心でフェンを喚んでしまった。


「フェン、もふもふさせて下さい。」


「馬鹿げたことで喚び出すな」


「リサク、神獣を喚び出すことは君の命を削ることに繋がりかねない。何も用がないなら喚ぶべきではないよ」


「そうは言っても、魔力制御、楽だし」


フェンを現界させるには命の削るってことか?

でも有り余る魔力調節にフェンを召喚することはありじゃないかとは思って見たものの・・・


「出来なくもない、この姿であれば」


考えていたことを読まれた

流石フェン様、神獣様っ!


そして、フェンが小さくなっていた。

仔ワンコ並の大きさに思わず


「最高だフェンっ!」


抱き締めてもふもふしていた。


「これなら日常的に我が現界していても主の負担は少ない。多少魔力を消費するが主なら問題なかろう」


「渡人の分際で神獣と契約・・・貴様、何者だ」


「ズヴァン、リサクはまだこの世界に来て間もない。疑うより信じ助けることが重要だ」


気に入らないならそれで構わない

誰もかれも好かれようなんて思ってもいない


「唐突ですまないが、今日は騎士団会議なんだ、そこで改めてリサクを紹介する」


堅苦しい会議はもう御免なんだがな

仕方ないか

己という存在を知ってもらう機会だ

世話になるのだから最低限の付き合いは必要


「騎士団長全員と会うのは久し振りだな」


「皆それぞれ、忙しいからね」


自惚れてはいけない

気に入られてるなんて思わない

ただ、争いになることだけは避けたい



書類作業も一段落着き

クレイに連れられ騎士団会議に出席

七人の騎士団長

全員揃って会うのは初めてだ


「おっ?リサクっ!」


「リュウス、久し振りだな」


「へへっ、クレイの補佐官になったらしいな?飽きたら俺のところ来いよな?」


「それは困るな」



困ることはないと思うがクレイよ


「ご託はいいから、早く会議を始めるぞ」


深紅の髪、鋭い目付き、強面のイケメン

レイガン・グドリアス

第二騎士団長


騎士団の訓練中に見かけクレイに教えて貰った

会話らしい会話はしていない



「まさか、君に助けられるとはね?改めて言わせてね?ありがとう、リサク」


「カリス」


元気そうで何よりだ


「それにしても、神獣と契約しちゃうなんてね、君は良い意味でも悪い意味でも異質な存在なんだね」


チートなのはその部分だけでたいして自身は強くはない

なので出来る限りは戦いと無縁の生活を築きたいが力あるものそうはいかないか・・・


「皆、集まっているようだね?では、会議を始めようか?」


クレイは円卓の中央の席に座りその左隣の席に着いた。

騎士団長は七名

美男美女の集団

否、中年オヤジもいるけどダンディだ


「第二騎士団長、レイガン・グドリアスだ。お前の射撃の腕は認めるが大した戦力にはならなそうだな」


「主に敵対するなら殺してやろうか?」


「フェン、いつの間に・・・」


いつの間にか消えていたフェンが膝の上にいた

可愛い、もふもふ、嗚呼、幸せだ。


「神獣の噂は本当らしいな」


「ふーん、なるほど、その神獣様が君の魔力制御してくれるわけか?考えたものだねぇ」


「リサクさん、魔力の制御を神獣様任せは良くありません、自身で制御出来なくては私が教えた意味がありません。」


「あー、ミリアさん。確かにそうだけど、フェンを現界させるだけの魔力制御もかなり訓練になると思うのですが」


「そういうことなら、仕方ありません」


あっさりしてるなぁミリアさん


「そうだねぇ、有り余る魔力の消費と制御、どちらも達成出来る分には良い訓練になるね、日常的に問題なければ大丈夫かな」


カリスが賛同した

なんだか良いような悪いような


「ミリア、カリス、話が脱線してるぞ?今は会議なのだぞ?」


ダンディ騎士は声も渋い

この騎士団長の中では一番貫禄あるな


「第四騎士団長、ダゼグ・ノーゼリアだ。以後お見知り置きを渡人殿」


「ご丁寧にどうも。俺はリサク・シマバラ」


自己紹介まだだったな。

そう言えば第一がクレイ、第二がレイガン、第三がリュウス、第四がダゼグさんと来て第五、第六、第七はミリアさん、ルルビィ、カリス、誰が当てはまるんだろうか?


「私が第五騎士団長を務めさせて頂いてます。第六はカリスさん、第七はルルビィさんが担当しています。」


ミリアさん

なんて気が回る人なのだろうか?

美人でそれにボディスタイルも良い

それに比べてカリスは


「なによ?ミリアを見てからその哀れむような目はっ!?」


まったいら

悲しきかな

子供のような体型ではないにしても

まったいら


ミリアさんと比べては駄目だろうし女性を比較するのは良くないと思ってはいても


「私になにか?」


「あ、いや、なんでもないです。」


「カリスには女の魅力がないものねぇ、それは隣がミリアなら尚更よねぇ」


ルルビィ、なんてことをいいやがりました。

そりゃあカリスはまったいらだが・・・


「はっ!?そんな脂肪の塊なんて重いだけでしょ?女は乳がでかいだけで有利になるなんて一昔の考えよ!」


いや、まぁ兎に角落ち着け

そしてまた話が脱線してますよ。


「そんな話どうでもいいが、この先その渡人の処遇を決めるかだろ?クレイの補佐官にしてはいるが、まだ我々には信用にたる存在でもない」


レイガンはどちらかと言えば友好的ではないな


「大して問題なかろう?この者が他国の密偵なわけでもあるまいし、信用にたる存在でなければクレイの補佐官になど推挙はしてない。寧ろ、姫様、カリスを救ってくれた恩義を仇で返すなど騎士として恥だ。それにこの者がこの国の脅威になることはまずない。」


「何故、そのように断定出来る?ダゼグ殿」


「お主も一度はこの者を認めていただろう?ならば理解出来るだろうに?この者に争い事は似合わぬ。ただ面倒事は避けて通ろうとするがな」


「それは、あたしも保証するよ。リサクは渡人でも野心がない。おまけにクレイが絶対的に信頼を寄せている。争い事が好きならリュウスと仲良くはなれないだろうしね」


「ん?リサクは良い奴だぞ?俺の話相手になってくれるしな?ただ、自分に危害を加える者には容赦しなそう、ってか神獣様いるしな」


「信用云々は理解した。だが、クレイの補佐官になって何になる?一時なら構わないだろうがこの先、戦になれば補佐官と言えど駆り出されることになる」


「戦争な・・・魔族とか?」


「一番はそうなるな」


人と人の戦争は流石にな

魔族と言えど生きている。それに人型なら尚更抵抗を感じる。


この世界にて戦争などといったことで人殺しはやむ終えないのだろうけど

それは元いた世界でも変わりないが

一般人の己が人殺しをするなど

身の毛もよだつ行い


殺らなければ殺られる世界

当然、ここにいる騎士団長達も人を殺めたことはあるだろう


時には割り切りも必要だが

人殺しとなるとな


「魔族との戦争はやむ終えなしだとは覚悟してるフェンを手した力は俺に有り余るし、でも人との戦争には加担したくない、生温い考えの俺が戦場に出でも邪魔だしな。」


「リサクにそんなことをさせないために、僕は君を補佐官にしたんだよ」


クレイは何でそこまで考えてくれるのが謎だ?


「何れにせよ、クレイに世話になるとはいってもいつまでもっては訳にはいかない、騎士団長としてもこんな見ず知らずの渡人を置いておくのは問題なんだろ?」


「騎士全員がお前のことを理解した訳でもないからな」


「レイガンのことも一利あるけどさ、フェリス様を救ったことは王の耳にも届いているからね」


「俺の預かりは今はクレイや騎士団長達で、王様が戻ってきたら最悪、俺はお払い箱か」


王が他国の祝伝にて不在だと聞かされていた


「ってか、王様に護衛必要ないのか?」


「我が王には俺たちの他に王専属の騎士団、トリアストが付いている。」


レイガンの言葉に唖然とする

第七騎士団の他にまだ騎士団いるのか?

そういうのって大抵は対立してて仲悪いよな


「その王専属の騎士団って強いの?」


「僕と互角にはね」


「ははは、そうなんだやっぱり仲悪い?」


「そんなことはないよ?仲悪い関係では連携が取りにくいからね」


クレイはこういってはいるが

本当のところどうなのだろうな?


「フェリス様を救ってくれた功績は確かに凄いことよ?リサク、胸を張りなさいな?神獣様を仕えたのだし、私より狙撃の腕を持っているなら尚更。ま、クレイに気に入られているみたいだし?当分は身の保証はしてくれるわよ?私?私はほら、大した力を持ってないから頼まれても無理ですわよ?」


ルルビィ、前半は良かった

けど後半で台無しになったよ・・・


「当分は、クレイを並びに騎士団長様達、フェンに頼りっきりになるけど、出来る限り自分の力でなんとかしてみるさ」


こんなにも人を暖かいなんて思いもしなかった。

人に優しくされるのは慣れてない

けど悪くはない

今は頼ることしか出来なくとも

自分なりに返せたらとも思う


信頼されているなら

己も信頼しなければなとも思う

まずは騎士団長達と信頼関係を築く


本当に

ただ上部だけの関係ではない

いつまでいられるかはわからないけど

今はクレイ達に頼るしかなかった。

お読み頂きありがとうございます。

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