表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実逃避していたら異世界に  作者: 弘崎宏
始まりは現実逃避
4/19

白銀の狼

「貴様か、我を呼んだ者は」


「・・・・・・」


「応えろ」


「もふもふ」


「貴様」


目の前に現れた白銀のもふもふ

触り心地良くてたまらん!


「いい加減にしろ」


「ぐぇっ!!」


もふもふしてたら、その巨体に踏まれた。


「全く、貴様が我を呼んだのだろう?力が欲しいと」


何も驚くまい

巨体なワンコが喋れるなんて

この世界は非現実なのだから


「力を貸してくれ」


「ふっ、本来なら噛み殺しているところだが」


「俺はリサク・シマバラ」


「・・・・・・貴様、正気か?契約前だと言うのに名を名乗るとは」


「んな、召喚術詳しくない!」


「この先が思いやられる主に違いはないが面白くもあるな、それに、我を現界させる程の魔力も備えているようだからな。」


「契約してくれるか?」


「いいだろう。ただし、我がお前を従わせるには未熟過ぎる、我がお前を従うと思うまで、我の意思を尊重させて貰う。」


「ん、それでいいよ、無理に従わせるつもりはないから」


「そうか、なら、契約成立だ」


あっさりと契約成立

何だか、呆気ない・・・


「我の名はフェンリル、神をも殺したと云われた神狼だ」


「へ?そんな、すごいワンコなの?」


「ワンコではない狼だ」


でっかいワンコにしか見えない

ってか狼も犬のようなものじゃないか?


「それで主、我を呼び出した理由は?」


「あれを見たらわかるかな?」


「上級魔獣の討伐か?」


「出来るのか?」


「出来なければ、その名に恥じる。」


「かっこいいっ!」


「主よ、何故我の毛を触る」


「もふもふしてるから、取り合えず乗っけて」


「無礼にも程がある、だが触られて嫌ではないのが不思議だ。」


「俺のもふる技術は最高レベルだからな!フェンの毛もトリミングしてやるよ」


「トリミング?聞き慣れない言葉だな」


「毛並みを整えることだよ、近所のワンコ達にしてたからなぁ」


「ふむ、少し興味がある、事が終った後で頼むとしよう」


嗚呼、もふもふ、幸せだ


「行くぞ主」


「あっ、おいおい、マジかよ」


フェンリルは窓、城壁を壊し外に出やがった。

嗚呼、後でカリスにボコられる。


「確り、掴まっていろ、落としても拾いはしないからな」


「そんな、せっしょうな~」


振り落とされないようにしがみつくけどあまりそういった衝撃を受けない。


「ほぅ、主は我に乗ってもその反動を受けないようだな、我との相性は良いようだ」


「それは、何よりで」


風を切り駆ける巨狼は目的地へ急いだ



「翼種型か」


「あれで上級なら、最上級はもっとヤバイな」


遠目でもわかるくらいの存在感。

畏怖の存在は近付くだけ恐怖を伴う

下級でさえびびってたのに、これは漏らしても可笑しくないな


「主、恐れるな、我に無礼だ」


「頼りにしてます」



近付くに連れて恐怖も倍増だが

心強いワンコがいる。

それに腹括った、自分で決めたことに今更、背を向けるような真似はしない



「カリスっ!」


魔獣に捕らわれもがき苦しむ彼女の姿が見えた。

騎士団は魔術、武術で応戦するも彼女に当たりかねなく、慎重にならざる負えない。


「フェン、俺でも何とか出来るかな?」


「我の上から弓を放つのか?上級魔獣では何の意味もなさないぞ?」


「そうか・・・」


「弓に魔力を込めろ、倒すまでにはいかないが、腕ぐらいなら切断可能だ、我も助力してやる。」


「ありがとうフェン・・・狙いを定める止まってくれ」


「主、その弓では一発が限度だ。我の魔力ともなれば耐えきれぬ」


「あいよ、一発な」


腕を狙う

一発勝負だ失敗は許されない

ミリアさんの訓練で魔力を込めるすべは身につけた

フェンリルの魔力も伝わってきた。

後は集中。




「・・・・しっ!」


魔力を込めた矢は一直線に獲物を貫き裁断する

弓はその反動で朽ち果て塵と消えた。


「おぉう、なんか、身体が異様にダルい。」


「多量の魔力を放出すればそうなる。我を維持するだけの魔力も尽きそうだな」


「はへ~、フェン消えるのか?」


「また喚べば良い。お前を主と認めてしまったしな」


「その仕方なくって感じが申し訳なく思うけど、フェン、頼りにしてます」


「ふっ、頼れなければ喚ぶ意味などないだろ?では、主、時間のようだ」


「おー、またな」


役に立ったかはわからないが、カリスを魔獣から解放させたことは確かだ。

あまり、役立ってない気もするが

情けないことに、もう身体、動かない


「後は僕に任せて、君は良くやってくれたよ、リサク」


意識が揺らぐ手前

聴いたことのある声が耳に残った


「私も、グレイズの姫として、この王都を御守りします。リサク様、貴方にまた助けられてしまいましたね」


麗しい声だ

とても凛としてて


何だか安心してしまって

そのまま意識を手放した。




「うぉっ!?夢オチ?」


「はははっ、其だけ元気ならもう大丈夫だね?」


「クレイ」


会うのは久し振りな気がする

第一騎士団長だけあって多忙らしくカリスに殴られ目覚めた日以来会ってない。


「また、君に助けられたね、今度は僕の仲間が」


「助けられたのか微妙なところはあるけど」


「カリスが魔獣から逃れられたお陰で形勢が変わった、あのままではカリスごと魔獣を滅しなければ成らなかった。リサク、ありがとう。カリスに代わって僕がお礼を言わせて貰うよ」


「カリスは大丈夫なのか?」


「嗚呼、魔獣の瘴気を直接受けてしまったが命に別状はない。今はミリアによって瘴気を取り除かれ安静にしているよ。」


「そっか、それは良かった。」


「全く、驚いたよ、君が神獣に乗って魔獣に向かっていく姿を見て」


「あはは、いや、まぁ」


「君は大きな力を得てしまった。その意味、分かるかい?」


「危険なのは承知してる。もう村には戻れないってことか?」


「それだけじゃないよ、君は精霊、精獣はまだしも、神獣を従えた。それは、この国でも偉業のことだ野放しにして要られない。」


「フェンが神獣、あー、確かに神をも殺したって言ってたぐらいだしなぁ」


「君に危険がないのは承知している。だが、周りはそうはいかない」


ま、そうなりますか

なんなとなく話は読めた


「俺、騎士団には入れないよ?」


「そうだね、流石にそれは僕が許容出来ないよ」


「なら、国の預り人?」


「そうなるね、今は」


「どのみち、もう、村には戻れないし、のんびりとした暮らしは出来ないんだろ?」


「君次第だよリサク」


「協力しろってか?」


何に協力するかはわからないがそういうことだろ?


「嗚呼、騎士団には入らなくても協力はして欲しい。君のその力で」


「と言ってもフェンを本当に使役出来たわけじゃないからな?魔力が有り余るだけで大した協力は出来ないぞ?」


「いや、君の力はそれだけじゃない。君の射撃はこの騎士団随一とも呼ばれるルルビィより優っているからね」


「ルルビィが射撃の名手?」


マジかよ

人は見掛けによらないな


「正確無比な射撃はフェリス様、カリスの件を見て確信したよ」


嫌な予感しかしない


「たまたまなんて思わないのか?」


「たまたまで、あの偉業は出来ないよ」


「拒否権は?」


「ないかな」


「えっと、俺に何をしろと?」


「僕の補佐官をして貰う」


爽やかにこのイケメンは何を言っているのだろうか


「騎士団には入れないって」


「僕の補佐官は騎士団とは違ったものだから、問題ないよ?何かあっても守ってあげられるしね?」


「野郎に守って貰うなんて・・・よろしくお願いします。」


考えればこのイケメン

国の中で一番強い騎士様だった

守って貰う分には最強の騎士様なら頼り甲斐有りすぎる。


「それに、フェリス様もそれを望んでいらっしゃる」


「お姫様が?」


「僕の補佐官ならフェリス様と話せる機会は多くなるからね」


「最近、お姫様とも会ってなかったな、そりゃあ立場上難しいのは当たり前だけど」


「僕は君のことを信頼しているからね」


「会ってまもない奴なんかに信頼するなよ、騎士団長様なら特にだ、何か少しでも不振に思ったら切り捨てろよ」


「また、君は自分を卑下するんだね?」


「してるつもりはない、ただ、お姫様を守るんだったらそういうこと、当たり前かなってさ」


「フェリス様を御守りするならね、君はフェリス様のお命を救った。そんな君がフェリス様に危害を加えるなんて微塵にも思わない。それだけで信頼するに価する。」


「うっ、お前のそういうところ苦手だ、俺を良く見すぎてる。」


「それだけ、君を信頼しているんだよリサク」


「ぐぅっ、わかったよ、お前の補佐官になる。言っとくけど何の役にも立たないぞ?弓は出来ても剣なんて扱ったことがない、戦闘素人だからな!」


「構わないさ、君を無理に戦わせようとは思ってない、君がいた世界では争いのない世界なのだろ?」


「ないわけじゃないけど、殆んどない」


「君は優しい、そんな人に争いをさせるほど非道じゃないよ」


「取り合えず、俺は役に立たない。後方支援なら、なくもないが」


「それでいいよ、今は君に多くを望まない」


望まれても困るけどな!



「よろしくお願いしますクレイ騎士団長」


「やめてくれよ、今まで通りクレイでいいよ」


「でも、言わば上司になるわけだし」


「僕はその辺気にしないよ。寧ろ、変に君に気を使われるみたいで困るかな」


「悪かったな、変に気を使って」


「君は、いや、なんでもない」


「なんだよ、気になるだろ?」


「いや、ただ、同い年にしては幼いなって」


「クレイって24なのか?」


「そうだよ、そんなに老けて見えるかい?」


「いや、確りしてるなぁって、まぁ20代そこそことは思ってたけど」


「これでも騎士団長を務めているからね」


良き友人では有るけど

近寄りがたい感じもするんだよな

貴族みたいな風格、振る舞いのような感じがして

庶民感覚だから近寄りがたい、それは、お姫様にも言える。


綺麗で優しくて皆の憧れ的存在

現実世界ではアイドルのような感じか?

気品あるお姫様は誰からも慕われている

近付けるだけで有り難い

異世界に来てお姫様とラブラブなんて高望みはしない。

それにお姫様はクレイと仲良いみたいだし、それを邪魔する程野暮じゃない。

お似合いのカップル・・・リア充乙


今は自分のことで精一杯だ。

だから恋愛だとか考える余裕がないことも確かだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ