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現実逃避していたら異世界に  作者: 弘崎宏
始まりは現実逃避
1/19

結局、世の中上手くいかない

世の中、金、金、金

生きる為に金が必要だ

生きるだけで

国民税、住民説、年金等の説金を取られる


別に不満、愚痴を言うつもりはない

ただ、言いたい

世の中住みにくくなったと


島原 利朔 24歳 現在無職


若い内にバリバリ働いて稼ぐぜっ!

なんて言っていた時期もあった。

営業職に就いて無駄に頭をペコペコして

営業成績を伸ばそうと何本も契約もぎ取って

嫌味な上司の小言、戯れ言に耐えて


そんな生活に嫌気が差した

過労とストレスによって体調を崩して仕事も儘ならなくなった。

良くある話だ

自分がそうなるとは思いもしなかった。


何のために働いてんだ?

生きるため?


小さい頃に交通事故で両親が死に家族はいない

親戚にたらい回しにされた挙げ句施設に引き取られた。


虚しくなった

何もかも


生きているだけで金かかる

貯金はまだ余裕あっても働く気になれない

このまま虚しく一人孤独に生きて死ぬのかと、一人老後に暮らす老人のような思考になってしまった。


嗚呼、一層のこと

何もしないで生きていたい

自給自足の田舎でのんびり

どうせ、一人だからって贅沢も出来ないし

限りある貯金で何年生きていられるか試してみようか

なんて現在逃避の日々


基本的には金のかからないような日常を思い浮かべる。

そりゃあ、夢ある世界も悪くないが金のことを考えたら現実に戻される。


それでは、現実逃避出来ない



今日もまた架空の生活に現実逃避


広く雄大な畑に風車なんかあって

そうそう、こんな自然に溢れた生活なら金が掛からなくて現実的だ


「嗚呼、なんて空気が澄んでいるんだ。都会の薄汚れた空気とはまるで違うなっ!」


「おめぇさん、何処から来なすった?ここらでは見慣れねぇ顔だ」


お?現実逃避した世界に人がいる。

しかも話している内容まではっきり分かる。

いや、まて、現実逃避した世界なら自分の思い描いた人物、話になる筈、だがこの話かけた御老人は思い描いていない


「此処は、何処ですか?」


「はて、旅人さんかい?此処はバルプ、畑業を主業とする小さな町じゃ」


「現実じゃないですよね?」


「何を言っておる、可笑しな服装をしているとは言え、本当、変わった旅人さんじゃな?」


待て、夢だったら痛みで覚める。


「痛い」


「何をしておる?頬など引っ張って」


痛みを感じてこの有り様だと?


「あ、この世界は何でしたっけ?」


「はぁ?頭大丈夫か?」


「あ、いえ、ちょっとした記憶喪失なんで」


まずいまずいまずいまずい

何がまずいって?

いうので有れば、現実逃避していたら知らない内にど田舎に来ていた・・・


夢遊病なのか?

今までこんなことなかった。

ひょっとしてまだ夢なのか?


再び現実逃避してみても現状何も変わらない


頬を撫でる微風

明るく温かな日射し

畑の土の匂い

人々の話し声

全てが物語る

此は非現実にして現実なんだと


「そうじゃなぁ、この世界はゼノカルチュア、今こそ平和だがマノモノに侵され魔獣が蔓延る世界、この村には結界が張られておるから心配はないがのぅ」


なんて言うことだ

此処は地球ではない

異世界だと?

信じられっか!

ラノベ、アニメじゃあるまいし


取り敢えず生きるすべを見つけなければ

たとえ異世界に来たとしても冷静に考えれば

地球での生活になんら未練はない

寧ろ、こういった長閑な村でのんびりと過ごせるならそれに、越したことはない


自分がこの世界の勇者、英雄の生まれ変わり自分が世界を救う存在なんてことすら思わない

そんな危険に関わるようなことは地球の日本と言われる平和な国で育った己に務まらない


「ここで暮らしたいのですが、働ける場所はありますか?」


「ふむ、何か特殊な事情があるみたい、じゃのぅ」


普通、こういった村では余所者などに手を焼くことは望まない

だが、何も行動しない訳にも行かない


新たな生活の始まり

別に刺激的なことは求めてない


「ここで暮らしたいか、そうじゃなぁ、先ずはわしの家に来てもらおうかの」


「ん?」


「わしはここの村の村長じゃ、何にしてもここで暮らすなら色々、事情を聞かねばならぬ」


「村長さん、でしたか」


第一村人が村長だとは

ついてるな!


回りくどく嘘を言ったところで

この御老人は見抜いてしまいそうな感じがしたので

ありのままの事情を話した



「現実逃避をしていたら、この世界にいたと?」


「早い話そうです」


「渡人というわけか」


「渡人?」


「異世界からこの世界に来てしまった人のことだ、まさか、お主がのぅ」


そういう設定もこの世界にあるのだな


「本来なら王都に出向くのじゃが、この村で暮らしたいとはのぅ」


「ごちゃごちゃ、したところはもう、うんざりなので」


「渡人は王都に行けばある程度の生活は補償されるのだぞ?」


「でも色々、検査やらなんやらしないと何ですよね?」


「そうじゃが、ここでの暮らしより断然、良い生活が出来るぞ?」


「いくら金に困らなくても、やはり、自分の力で生きていたい、ならこの村で自給自足も悪くはないと思うのです。」


生活の補償をされても結局働くことになるだろう

慌ただしい生活よりのんびりした生活を基板としたい


「本当、変わった人じゃのぅ」


「そういえば、自己紹介まだでしたね?俺の名前はリサク・シマバラ」


大抵、異世界では名字と名前が逆

そんなラノベ、アニメの知識を活用してみたが


「ワシはパルテ・グレニム、先もいったとおりバルプの村長をしておる。」


あながち間違いではないらしい


この先に不安、心配などあるにはある

それと同時に期待、希望もあった。


のんびりと安定した生活の期待と希望というのも些か可笑しいことでもあるが

来てしまったからには現実を受け止めなければ

また現実逃避したところで日本に戻れる保証もない


リサク・シマバラ 24歳

異世界ゼノカルチュアにて村人になりました。


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