表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/23

裏のお話・私を恨んで

 聖女というものは救世の存在。その覚醒を促すためには唯一のよりどころを危機的な状況に陥らせ、助けたい、救いたいという願いを抱かせればよい。


 本来であるならば奇跡の発現は自然と、少しずつ進んでいくはずのものだ。だが今の状況ではこうするしかない。現聖女が日々弱っていく中で時間は無いのだから。私は聖女の覚醒を信じて自分の娘に刺客を送らなければならない。


 9割方助かる。現状を見るに娘に聖女は依存している。何を思って娘がそんなに聖女に良くしているのか理由はわからないが最早娘を使うしかないのだ。本来ならば適当な小動物をあてがい、最悪のリスクを限界まで減らす予定ではあった。だというのに…。


 私は何が憎くて娘に刺客を送らねばならないのか。娘を危機から引き離すために私一人で聖女の覚醒を促す使命を実行しているというのに。娘のために誰にも打ち明けず黙々と使命をこなしているというのに。


 国の為と心を殺そうとしても殺しきれるものでは無い。だけど、国が悪いだの、王が悪いだの、娘に庇護を与えてくれる約束はどうなっただの、そんな事は言い出すことなんてできない。


 あの人も気付いては居るのだろう。だが何も言わないのは、娘が死ぬ可能性があったとしても、この家の名前を、血筋を自分たちの代で終わらせることは出来ないとそう思っているからだろう。


 非情に徹さねばならない。


 家長が、そう決めたのだ。


 私も、この家に嫁いだ時に、覚悟はしていたはずだろう。


 ごめんなさい、リリエッタ。どうか、私を恨んで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ