その後2
私、リリエッタ・クラリエンスは転生者である。ついでに最近忙しそうにしているヒロインさんの体調が心配なお節介な人間でもある。だいたい、学園での生活にプラスして聖女としての力の制御の訓練なんてしていたら疲れるに決まっている。学園から出される課題も他の生徒達と変わらない量を出されているし、何よりヒロインさんが真面目だからそれらをサボらずきちんとこなしていているのが傍から見ていて苦しそうに見えてしまう。元気そうに振舞ってはいるが若干顔色が悪い時もある。なんとかして休ませてやりたいと思うが聖女なんて国の重大な役職の手を抜かせるという訳にも行かないし、学園側に交渉も、一応身分は平等とされているせいで突っぱねられる可能性が高い。と言うか突っぱねられた。ちくしょう。王子とか貴族の令息令嬢とかなんかよりとんでもなく大事な立場にいるのだから多少特別扱いしてもいいと思うがね。まあ、実際にはヒロインさんが聖女だと知っているのは極少数らしいし、なんであいつだけってなりかね無いから特別扱いしたくてもできないって言うのが本当の所なのだろうが...。
「マリー、今日は顔色が悪いね。」
「リリー様...、ええはい。ここの所忙しくてあまり眠れて居なくて。でも聖女になる訳ですしこのぐらいで音をあげていられません。」
「マリーの真面目なところは美徳だと思うけど無理しすぎは良くないよ。」
聖女としての責務を負っているとはいえ1人の少女。逆に言えば聖女の責務を1人の少女に押し付けるなんてなに考えているんだという話である。と今そんなことを考えてもしょうがない。ヒロインさんには仮眠でもとってもらわないといけない。
「少し横になった方が良いよ。ほらおいで。」
「リリー様!?」
ヒロインさんの横に座り直し膝の上を軽く払ってからぽんぽん叩いて頭を乗せるように促す。所謂膝枕というやつだ。多少しどろもどろになりながらヒロインさんは私の膝を枕に横になる。
「疲れてるんだろう。少し眠るといい。時間になったら起こしてあげるから。」
「あ、えっと、その、はい...。」
ヒロインさんは顔を赤くしながらぎゅっと瞼を下ろした。少し落ち着かない様子でもぞもぞ動き続けていたが、やはり疲れていたんだろう、寝息を立てて眠ってしまった。ヒロインさんのふんわりした髪を撫でてやり私の昼下がりは過ぎていった。
この様子を生徒に見られていたらしく、後日私とヒロインさんはラブラブだと周りから冷やかされたのはまた別の話...。




