その後1
私リリエッタ・クラリエンスは転生者である。何がなんだかわからないうちにヒロインさんと女同士で婚約することが決まってしまった時代に置いつけない人間でもある。どこに居てもぴったりとヒロインさんがついて来るのは...、まあヒロインさんがメイドだった頃に戻ったようでなんとも悪い気はしないのが複雑なところである。
「リリー様、今日のお弁当は私が作ったんです!料理長にも以外としっかりできるんだなって褒められちゃいました!メイド時代の経験が役に立ってますよ!」
「へぇ、マリーの作ったご飯か。専属メイドだったとはいえ料理を食べる機会は無かったし楽しみだね。」
お昼の時間に食堂へと赴きヒロインさんと2人でご飯を食べる。ヒロインさん手作りお弁当は彩もよくとても美味しそうに見えた。
「はい、リリー様、あーん。」
「いや、さすがにマナーが...」
「いいじゃないですか。今ぐらいなんですかこんなことできるのは。それとも私に食べさせて貰うのは嫌ですか?」
最近わかった事だが、どうやら私はヒロインさんの悲しそうな顔に弱いらしい。ヒロインさんのしょんぼりした顔を見るとなんとも胸が苦しくなるような気分が湧き上がって来る。...マナーを気にするのももっともなのだが、ヒロインさんの顔を曇らせるくらいなら気にすることでもないか。
「ん、」
「はい、リリー様。どうぞ!」
口を開けてヒロインさんから差し出された卵焼きを口で受け取る。なるほどヒロインさんは甘い卵焼き派か。中までしっかり火が通っており、アクセントに入っているネギのシャキシャキとした食感も素晴らしい。
「どうですか?料理長からお墨付きを貰った異国料理なんですけど...。今日のお弁当の中で1番の自信作なんです。」
「うん、美味しいよ。」
「ほんとですか!あとはこっちも上手にできまして...。」
その後もヒロインさんの作ったお弁当に舌鼓をうち楽しんだ。ヒロインさんが一生懸命にこの料理はここがよくできてとか、この料理は私が好きそうだから気合を入れてとか語りながら食べさせてくれようとする姿は微笑ましい限りであった。もちろんお弁当はどの料理も美味しくてヒロインさんはやっぱり才能の塊なんだなと再認識した瞬間でもあった。
「リリー様、また私の作ったお弁当食べてくださいますか?」
「もちろん。」
「えへへ、嬉しいです。こうしてリリー様と一緒に過ごせる幸せな時間を得られるなんて...私頑張ってよかったです。」
ヒロインさんは私の顔を見ながらニコニコし続けておりなんだかこちらまで楽しくなってしまう。
「リリー様、ずっと私と一緒にいてくださいね。私たちの仲は女神様も祝福してくださってます!子供のことも私に任せてください!」
ヒロインさんのガッツポーズを可愛いなぁと眺める昼下がりであった。