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どうしてこうなった

私、リリエッタ・クラリエンスは転生者である。ついでに乙女ゲームの悪役令嬢でもある。王子から送られた手紙の指示にしたがってごった返す学生食堂へと足を向ける。時期としては早いが所謂断罪イベントである。2度目の階段転落事故がトリガーとなり、いよいよ私の頑張りの結果が出る最終局面へと突入である。私的には多少ヒロインさんに味方してもらい、国外追放の路線で断罪して頂くのが一番良い。もし、処刑や娼館に売り飛ばされる話になるのであれば即刻逃げ出し国外に高飛びすることも考えている。そんなこと1人でできるか怪しいが、チャレンジは気持ちが大事だ。


「よく逃げずに来たな、リリエッタ・クラリエンス。今日この場で貴様の悪行を暴いてやる。」

「みんな、すまないがこの場で証人になってくれ。これは王子の未来に...引いては国の未来に関わることだ。」


この学園では身分は平等とのたまっていた教師がいの一番に王子の身分を持ち出してどうするんだ...。と言うか攻略対象共はヒロインさんから犯人を聞き出し私を断罪するつもりらしいが、私は一切関わってないしヒロインさんとは良好な関係を築けている...と思うから思い通りには行かないと思うが。


「まず、リリエッタ。お前との婚約は破棄させてもらう。そして悪行を暴いた後はお前は国外追放だ。」


ヒロインさん効果か知らないが末路としては一番まともな選択肢出会って安心した。ここからはもう悪役令嬢に徹して置けば望む未来を得られるだろう


「私の悪行ですか...。申し訳ありませんが身に覚えがありません。」

「白を切ったところで無駄だ。私達は被害者本人から話を聞いているのだからな。」

「マリー嬢、お辛いでしょうがあなたへ非道な行いをした人物をおっしゃって貰えませんか。」


攻略対象の教師に背を押され攻略対象共の前に出たヒロインさんに食堂中の視線が集まる。肝心のヒロインさんは俯いており髪に隠されその表情は見えないが、微妙に体を震わせていることから怯えているようにも思える。


「リ、リリー様!!」


と思っていたのもつかの間、ぱっと顔をあげたヒロインさんは晴れやかな笑顔でこちらへ走り出してきて、


「リリー様!!どうか私を褒めてください!私頑張りました!リリー様とこれからはずっと一緒です!」


わんこが...わんこがいる。ありもしない犬耳がピコピコ動き、尻尾がぶんぶん振り回されている幻覚が見える。


「そうでした、私をいじめていた令嬢はその柱の影に隠れているリリー様の取り巻きの1人ですよ。リリー様の名前を使って自分は汚れずにいるなんて許せません!」


突然のヒロインさんの豹変と犯人の告発にしばしぽかんと間が空いた食堂内だったが、真犯人の令嬢が慌てて扉を開け逃げ出して行く音で皆正気を取り戻した。攻略対象共は頭の上に?を浮かべながらも逃げ出した令嬢を確保に走り始めた。


「リリー様、私マリーはリリー様を愛しております。リリー様のご両親、お兄様はもう説得してありますから、安心して私と結婚してください!」


怒涛の勢いで話が進む中、私に抱きついたヒロインさんの感触を感じつつ、ステージの上で崩れ落ちる王子の姿を見つつ私は思わざるを得なかった。


「リリー様、愛しております!」


どうしてこうなった。

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