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私を取り巻くあれこれ

私、リリエッタ・クラリエンスは転生者である。ついでにマリーとの交流に1人、人を挟まなければならなくて困惑している理解力の乏しい人間でもある。


 今、私の前に居るのは攻略対象の1人、ローイット。彼は優れた能力を買われ平民でありながら学園に通うことを許された特待生、という体の暗部に関わりのある人間であったと思う。


「んじゃ、マリーちゃんとは手紙のやり取りで勘弁しといてやってくださいよ。俺がちゃぁんと届けますから。」


「…それはマリーの提案なんですか?違うのだとしたらお断りしたいのですが。」


 違うといいなとは思いつつ、これがマリーの案である事はなんとなく私にもわかる。


「いやぁ、マリーちゃんの提案なんですよねぇ、これが。俺にはよく分かりませんが、マリーちゃんとリリーちゃんが仲が悪いって噂があると好都合らしいですぜ。なぁに、完全に会えない訳ではねぇんです。2人が会う時は、俺がちゃぁんと手引きしますから。」


 どう言った理由なのかは分からないがマリーは私との仲が悪い噂をそのままにしたいらしい。実際はそうでは無いのだが、何かに利用しようとしているのなら無理に噂を消そうとする必要も無いだろう。


「それじゃ、俺はこれで。何かあったら声掛けてくださいよ。」


 颯爽と去っていく後ろ姿に隙はない。確かに暗部の人間だと言うことなのだろう。私が後ろから襲いかかってもあっという間に地に伏せられる。そんな予感のする相手だった。


 もちろん今は味方としてこうして喋っている訳だから、そこまでは警戒する必要もないのだが、あんなレベルの攻略対象者達に言い寄られるなんて、やはりマリーの見た目は男性たちにはたまらないものであり、なおかつ性格もお近付きになりたくなる良い性格をしているのだろうと感じる。


 勿論、物語上で語られているのもそうだし、私自身がマリーと長い間接してきてその程度のことは分かってはいるのだけど、やはり自分以外の人物がマリーに惹かれている様子を見ると改めてそんなことを考えてしまう。


 さて、そんなことはどうでもいいとして、問題なのは私の取り巻きたちだ。


 私とマリーの仲が悪いという噂をマリーが何やら利用したいと言っている以上、体面的には私もマリーあまり優しくすべきではないし、私とマリーの関係を誤解しないよう取り巻きたちに説明するなんてもってのほかだろう。


 そんな状態では取り巻きたちがマリーに何をしでかすか分からない。


 実際は違うのだが、ある程度位の高い私がマリーと仲が悪いとなると非常に厄介な効果がある。聖女とはいえ、現行は多くの人物に知らされているわけでもなく、何か祭事を仕切っているわけでもないうえに、貴族としては男爵令嬢としての権力しかないマリーに、大きな危害を加えたとしても、私からの一声があれば罪は大きく軽減されてしまう。それどころか罪が無くなってしまう可能性だって十分に考えられる。


 つまり、今後の国を動かしていくであろう人物たちを周りに侍らせているマリーをよく思わない取り巻きたちが、私の庇護を盾に大きな危害を加える可能性がある。


 頭を悩ませてしまう問題だが、マリーはそのことをわかっているのだろうか。


 どちらにしろ、マリーがどうにかできるもんではないことを考えると、私が何とか取り巻きたちを抑えておくしかない。だが…。


 今後のマリーとの交流のための話を終えて、自分の教室へと戻った私を迎えたのは、私の取り巻きたちの中でももっとも高い家柄の令嬢、オルヴァー家のシエナ嬢だった。


「リリエッタ様、用事の方はお済になられまして?」


「ええ。あなたたちを置いて行ってしまいもうしわけありません。ただ、どうしても私一人とお話ししたいと熱心に言い募られてしまいましたので。」


 別に私の方から頼んでついてきてもらっているわけでもないのに、常に取り巻きたちに気を使わなければならいのというのは何というか疲れてしまうが、彼女たちの機嫌を取って行動を制御していかなければろくでもないことになるかもしれないので、とにかくそれだけはやっておかないといけない。


「それにしてもリリエッタ様、どうしてあの無礼者をそのままにしているんですか!あの娘はリリエッタ様が王太子殿下の婚約者だと知っているのにあの様に周りに侍らせているのですよ。」


 その話は本当にやめてほしい。


 私としてはこのままマリーと王子が仲良くなって二人がくっついて、私になんの断罪も飛んでこないのが一番なので、今の、マリーとの交流手段も確保できており、なおかつマリーと王子が仲良くしているこの状況は非常に好ましいのだ。お願いだから余計なことをしてこの状況を壊すような真似はしてほしく無い。


「シエナ嬢、それは別に構わないのですよ。私と王子の婚姻は家同士、ひいては国に認められ成立しているものです。それを一時の恋愛感情や個人の感情で破棄することは難しいでしょう。よほどの失態を私が侵さない限りはこの婚約は不変です。」


 だからこそ厄介なのだが。私から婚約を破棄するにはそのよほどの失態が必要なのだが、それを犯すとおそらく断罪される方向に話が向かう。だからこそ、聖女という地位を確立したマリーに王子を引き取ってほしいのだ。


「ですが!」


 どれだけ食ってかかられようと私は現在のこの状況を動かそうとは思わない。


「それに、未来の王ともなれば世継ぎのために複数の女性と関係を持つことになるのは目に見えています。今はその練習だとでも思えばそれほど苦しくもありません。」


 私の言葉に、不服そうな表情を残したままだがシエナ嬢は引き下がった。不満があろうがなかろうが私の言葉に一理でもあると思ってもらえればそれでいい。


 今はこうしてのらりくらりとかわしていくしかないのだ。

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