朝:マキセ孤児院
「みんなー!朝ですよー!!」
ポニテで、身長低め20代でみんなのお母さんポジションに君臨する人、ミライさんのモーニングコールで子供たちは目覚める。
自己紹介が遅れました。ミルクで戻しそうになった俺です。
いやー、時が流れるのは早いものですね。ここに拾われてもう4年が経ちました。更に、僕に立派な名前をもらうことが出来ました。
「ほーらガゼル君。朝ですよー!」
「……うるさい。」
そう!こんな痛々しい名前をつけてくれました!!
「あー!そんなこというの?ひどい!」
「朝は苦手なんだって…。」
俺はそう言って、布団の中に隠れる。今起きたらミライさんに負けた気がする。
「はぁ…仕方ないわ。モモカちゃん、お願いね。」
「あーい!」
ミライさんに呼ばれたモモカは元気に返事をした後に、布団の中に隠れた俺から距離をとる。
そして、俺のいる方向に一気にダッシュしたかと思えば距離が近くなると、あろうことかジャンプして俺にダイブしてきた。勿論、この間も俺は外の状況を知らないのでなすすべもなくモモカのダイブを直撃でくらった。
「おげぇぇぇ!!」
「おはよう!にぃに!!」
「お…おはよう…。我が妹よ。」
何を隠そう、モモカことこの幼女は俺の妹だ。更にいうと、俺がこの星に来てからずっと隣にいた赤ちゃんだ。
2歳ぐらいのころに、モモカにふざけてずっと「にぃに」と言っていたら、モモカが俺の事をそう呼ぶようになった。
正直、どっちが先に生まれたのかは分かんないし、本人もそんなことはどうでもいいだろう。何より「にぃに」と呼ばれて悪い気はしない。
後、何故名前がモモカなのかというと1歳のころ、ミライさんと他の一人が先に俺の名前を考えて「ガゼル」になった瞬間、俺は心の中で絶句してこんな名前が妹についたらたまったもんじゃないと思い、慌てて考えて妹の髪が綺麗なピンク色だったから、「モモア!モモア!」と叫んだためである。
俺が妹からのありがたいモーニングダイブをくらい、ようやく布団の中から出てきたころにもう一人目の前に現れた。
髪はショートカットで、身長はミライさんより少し高くて、なによりもスタイルが良すぎて目のやりように困る。
そして、俺の名前「ガゼル」を考えた張本人、カナデさんだ。
「おはよう、ガゼル君。また寝坊かい?」
「えぇ、まぁ。」
「じゃあ、朝ごはんは抜きだね。」
言い忘れてた、この人は超ドSだ。根はやさしいんだけどな。
閑話休題
僕ことガゼルとモモカが拾われた場所は、ミライさんとカナデさんが経営してる孤児院だった。この孤児院には、俺とモモカを含めて10人ちょっといる。そのほとんどが俺らより年上だ。一番年上で8歳ぐらいだ。
「あ、ガゼル君やっと起きた~。」
「おはよー!ガゼル!」
ゆるい感じに挨拶してるのがメグで、逆に元気よく挨拶してくるのがカズヤだ。こいつらも今よりもっと小さかった時に、ここに拾われたらしい。
「モモカちゃんもおはようなの~」
「おはよーなのー!!」
「うん!モモカはいつも元気だな!」
ここの孤児院は、マキセ孤児院というので皆名前の後ろにマキセがつく。
俺でいえば、ガゼル・マキセ。モモカだとモモカ・マキセだ。
「みんなー!朝ごはんですよー!」
ミライさんの一声で、孤児院の子供が一斉に食卓に駆け寄る。 モモカはやっ、一番はやく席に座ってるじゃん。
そして、カナデさんが皆に朝ごはんを配っていて俺の番が回ってきた。
「ん?君の朝ごはんはなしと言ったはずだよ?」
「うそぉ!?」
「ああ、冗談だ。ほら、君の分だ」
渡すなら最初から渡してくれよ! 皆から笑われたじゃん! モモカお前もか! お前だけは信じていたのに!!
こうして、マキセ孤児院の一日は始まったのである。