『テント』にご招待
さて、如何いたしましょう。
この状態何気に私にとって天国ですが、何時までもこのままという訳にもいかないでしょう。
どう切り出せばよいのか、悩みどころです。女神様は、彼らなら話しても大丈夫というお墨付きを下さいましたが、話の持って行き方が問題です。
全てありのままに話したとしても、信じてもらえるか怪しいですし、何より頭の可哀想な人扱いに思われるのはぜーたいに嫌です。ダイアンにそんな目で見られたらショックのあまり自分の喉に短剣を刺して死にます。
ダイアンの胸の中でぶつぶつ呟く私は、ちょっち不気味~な存在だったようで、離れようとする気配が漂ってきます。
まずいです。このままではダイアンに痛い子のレッテルが張られてしまいます。何とか回復しなければなりません。
うる目で下から見上げると、取りあえず提案します。
「えっと~、詳しいお話は『テント』の中でいかがでしょうか?」
サアラが私の首元の服を引っ張ります。それの反動でダイアンから離れてしまいます。
あぁ~。ざ・残念ですぅ~。
「いいの!? 『テント』の中ってみんなで入れるぐらい広いの?」
「おいおい。魔物が入れないようになっているだけでも凄いのに、拡張もついていたら、一国の王様だって持っていないぞ! それどころか、世界中どこを探してもあるかないかだ。そんなものを、持っているなんてこと、幾らなんでもあり得ないだろう」
・・・・・・・・。
あり得たりして・・・・・。
視線をあさっての方に向けたりして・・・。
そんな私の様子を見て、ヒャトが手を額に当ててお空を向きます。ダイアンがはぁ~とため息を吐き、サアラが目を輝かせ、ガイは何も分かってないのかきょとんとしています。
「えっと。入ります?」
兎に角、可愛らしく小首を傾げて誤魔化してみます。
「入る入る!!」
サアラは間髪入れず叫んで両手を握ってぴょんぴょん飛び跳ねています。
そんなサアラを、ガイは優しい笑顔で見つめています。
うむむ? これってモシカシテ・・・、もしかするのかな?
えっ?でもサアラは女の人が好きなユリで・・・、まさかそれで、腹いせに周りの女性をく・・・いてる?
ヒャトはそんなサアラを呆れたように見つつ宥めています。
ダイアンは、どうでしょう? 私の後ろに居るので見えませんが、恐くて振り向けません。こんなに私って乙女だったかしら?
なんだか涙が零れそうでギュッと目をつぶり、覚悟を決めて振り返ると同時に目を開きます。
ダイアンは、右手を顎に当てて思案顔でした。
「だめですか・・・?」
「嫌。イリーナさえよければお邪魔していいかい?」
にっぱ♡いいに決まっているじゃありませんか!!
「はい!みなさんどうぞ」
こうしてみなさんを『テント』にお誘い出来ました。
みなさんが『テント』に入る時、背後で何やら叫ばれましたが、私の預かり知らぬことです。
耳をぱたんと閉じて、な~にも聞こえませ~ん♡
「おい!!こら待て!このままだと魔獣に襲われるだろうが!!」
「だせー!!」
「このままにすると、魔獣に食べられるーー」
まあ、その時はその時です。
ご臨終様といいましょう。
そもそも、あなた方の招いたことです、甘んじて受けて下さい。




