8 探索。
遅れました。すみません。
では八話目、どうぞ。
(右の本棚が怪しそうだな・・・)
アークは、直感的にそう思い、右の本棚に行ってみることにした。
「えー!そっちのほんよめなくてつまんないよー!」
「ディン、お前文字読めないのか?」
「むー!よめるにきまってるだろ!」
(嘘ではないようだな。じゃあ、ディンが読めない文字とはいったい・・・?)
この大陸では、文字も言語もほとんど統一されている。例外であるのは守護獣たちがお互いに会話する時に使う『魔法語』と、古代の民が使っていたとされる『古代語』の二つだけだ。遠い昔には数十の言語が使われていたが、長い歴史の中で滅んだり吸収されたりして今にいたる、らしい。
(となると、『魔法語』か『古代語』か・・・魔法語は『覗た』ことがあるからある程度はわかるが、古代語となるとさっぱりだな・・・)
アークは無造作に本の一冊を手に取ると、本をぱらぱらとめくってみた。
(読めない・・・古代語か。失敗したか?)
アークが少し落胆しながら本を閉じようとした時、ここにあるすべての本が音を発した。
(ようこそ、資格あるものよ・・・)
「っ!?ぐううううううううううう!?」
その本が意味のある音を発すると同時に、アークの視界が赤く染まる。言葉では言い表せないような激痛とともに、たくさんの文字が頭の中に流れこんでくる。耐えられず、地面に蹲った。
(痛い、痛い、痛い、痛い、なんなんだこれはああああああ!?)
何十分と言う時間がすぎたのだろうと錯覚するほど長い時間のあと、アークはゆっくりと立った。まだ流れこんでくる文字に顔をしかめつつ、首を振った。
「ア、アーク、だいじょうぶか!?」
「・・・ああ、問題ない。」
(なるほど・・・何かしらのキーであの古代術式が発動したということか・・・。しかし、なんだこれは?なぜ古代語を理解できるようになった?)
そう、先ほどアークの頭の中に流れこんできたのは、古代語についてだった。ついでに、本棚にあった本の情報も入ってきている。そして、奥への行き方も。
アークは本棚に近づき、いくつかの場所から適当に本を抜き取った。すると、本棚が沈みだし、後ろにはなにやら機械じみた入口が口を開いていた。
「ア、アーク、その場所は・・・?」
「僕にもよくわからない。とにかく入ってみよう。」
そう、アークの頭の中には、扉の開け方は入ってきていたが、この扉の奥になにがあるかまではわかっていなかった。アークは警戒しつつも、この中に入ってみることにした。
(もしかすると、ここを作ったのはだれかもわかるかもしれないしな・・・)
アークたちが中に入ると、これまでの土っぽさが消え、金属の硬質な通路が奥まで続いている。
(なんだこれは・・・こんな金属は見たことがないぞ・・・!?)
見たことがない材質に驚きながら進んで行くと、前に不思議な形をした扉のようなものが見えた。
恐る恐る近づいてみると、扉のようなものが左右に開き始めた。
突然開いた扉に驚き、中を覗くと、
――三機の巨大な人型が部屋に鎮座していた。
次回、戦闘です。