3 連れて行かれた先は。
三話目です。どうぞ。
少年は困惑していた。何故今自分は治療を受けているのだろうと。
「まぁ、こんなところさね。あとは安静にしてりゃ治るよ。」
「ほんとうか⁉︎ありがとうおばちゃん!」
「なあに、気にしなさんな、子供は大人を頼るものだからねえ。」
「じゃあまたね!おばちゃん!」
「ああ、またね・・・ってちょっと待ちな!その子を連れて行くんじゃないよ!」
「え~。なおったっておばちゃんいってたじゃんか~。」
「それは安静にしてたらの話だよ!あんたの遊びにこの子を付き合わせたら治る傷も治らんよ!」
「けち~」
「そんなことお言いでないよ!さあ、帰った帰った!」
「はーい。じゃあまたな!」
白髪の少年が扉を開け、外へ出て行くと、おばちゃんと呼ばれていた中年女性が、少年にむかって話し始めた。
「それで、いかにも何かありますよ、っていう風だけど、何があったのかおばちゃんに話してくれないかい?」
「・・・・・・」
「だんまりかい。まあいいさ、辛いことのようだしねえ、無理に聞くような真似はしないさ。だけど、一つだけ聞かせてくれないかい?」
「・・・何?」
「あんたがここにいることで、何かこの村に悪いことは起きないのかい?」
「・・・別に貴方が心配しているようにはならないと思いますよ。」
そう、少年は知っていた。この女性が心配していることを。そして、それは絶対にありえないということも。
「・・・そうかい。まあ、そうと言うことにしておくよ。」
(・・・本当に信用されているというわけではないな。だが、この見た目で少しは信用はしてもらえているらしい。)
「それじゃあ一つお願いがあるんだ。」
「お引き受けしましょう。」
「それは・・・って早いね!?・・・それで、頼みっていうのは、あの子、名前はディンっていうんだけど、あの子と仲良くしてくれないかい?あの子は、良くも悪くも純粋だ。汚れっていうのを知らない。小さい子供には酷なお願いかもしれないけど、あの子を頼めるかい?」
「わかりました。引き受けます。」
「ありがとね。」
(あの子の白い心のことは、忘れることができないほどの衝撃だった・・・だけど、嬉しかったんだ、あんなに清い心を持ってる子が居て。それなら僕は、それを汚されないようにしよう。いつか終わるその日まで。)
少し遅れるかもしれません。