2 出会った話。
二話目。
「・・・・・・はっ!?」
気絶していた少年が目を覚ますと、そこは森の外であった。少年は茂みのそばに横たわっていたのだ。
「た、助かった?」
少年は辺りを見渡し、自らを殺そうとしてきた「人間」がいないことがわかると、安堵したのか、寝転がり始めた。
「だけど、いったいだれが僕をここにつれてきたんだろう?・・・っつ!」
そう独りごちる少年。だが、蹴られた傷は癒えていない。
「森を抜けた・・・?なら、ここは白の国のはず・・・・・・ホントに抜けられたのかな?」
グルルゥ・・・
「っ!?」
そのとき、獣の声が少年の耳に飛び込んできた。少年は身体を硬直させる。森の中から出てきたのは、全長5mはあろうかという巨大な虎であった。
「ひっ!?」
少年は思わず悲鳴を上げてしまう。
「・・・どうやら目が覚めたようだな。」
「・・・えっ」
虎が喋った、ということに驚愕した少年。
「ふむ、見たときは死んだと思っていたが、生き残ったか。」
「・・・?」
「我が汝を救ってやったということだ。」
「・・・嘘ではないようですね。ありがとうございます。」
「何だ、ずいぶんと子供らしくない子供だな。」
「まあ、僕にもいろいろとありましたので。」
「ほう、いろいろねぇ・・・」
「・・・・・・・・・」
「まあいい。とにかく、二度と我の縄張りに立ち入らんように。次はないぞ。」
「・・・はい」
「ふん。では、さらばだ。」
「待ってください。」
「何だ」
「ここはどこか教えてください。」
「ここは人間共の言葉だと「白の国」だな」
「・・・!ありがとうございます!」
「・・・?何だ、変な奴だな。…ではな。」
こうして虎は再び森の中へと去っていった。
「ふう・・・良かった。ここが「白の国」で。あとは、どうしようか?」
安全な白の国へ行けたはいいが、少年がいた国とは敵国なので、行くところもない。身寄りもない。どうすればいいか、少年には全く分からなかった。
腹も減り、詳しい道もわからない今、もはや虫を食うしかない、と少年が思った時、
「どうしたんだ?」
「えっ・・・っ!?」
後ろから声をかけられ、振り向いた先には、白髪の少年が立っていました。白い髪は、白の国では一般的な色です。しかし少年が驚いたのは、
(こいつ・・・白の心を持っている!?)
そう、この白髪の少年は、邪念を一切持っていなかったのだ。それは普通有り得ない。なぜなら、「人間」というものはどんなに幼くても邪念を持っていると、少年は知っていたからである。ここまで純粋な心など、見た事もなかった。
「どうした?おれのかおになにかついているか?」
「あ、ああ、いや、なんでもないよ。」
「ふーん、そうか・・・こんなところでなにしてたんだ?」
「まあ、いろいろあってね。」
「へぇー、てお前けがしているのか!?」
「い、いや、なんでもないよ。」
「こんなところで話しているばあいじゃない!はやくくすしのおばちゃんにみせないと!」
「えっちょっ・・・うわっ!」
少年はあっという間に白髪の少年に背負われ、どこかへ連れて行かれてしまった。
話が進まない…